第三十六話
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第三十六話 転校の朝
転校生が学校にやって来る日の朝だった、華奈子は美奈子の机のところに来て彼女にこんなことを話した。
「うちの学校って転校生が来ると事前に知らせてくれるからね」
「いきなり来て驚くってことはないのよね」
美奈子もこう華奈子に返す。
「そうしたことはね」
「ええ、だから今日来るのはわかってるけれど」
「誰かまでは教えてくれないのよね」
美奈子はこのことを少し苦笑いになって述べた。
「そこまではね」
「誰が来るまではね」
そのことは、というのだ。
「わからないから」
「それが残念ね」
「ううん、残念っていうかね」
華奈子は考える顔になって美奈子に話した。彼女は美奈子の机の傍、美奈子のすぐ右に立っていてそして話すのだった。
「期待してるけれど、あたしは」
「そうなの」
「ええ、結構ね」
華奈子はそうだというのだ。
「どんな娘が来るかって」
「ううん、華奈子はそうなのね」
「美奈子はなの?」
「ちょっとね」
どうかとだ、美奈子はここで華奈子にこう言った。
「不安だけれど」
「美奈子はそうなの」
「怖い娘だったらどうしようって」
「別に怖くないでしょ、それにね」
「六年の人だからなのね」
「先輩だからね」
直接同じクラスにはならない、ただ同じ学校で同じ魔法塾になるだけだ。
「直接顔を見合わせるころはないわよ」
「それはそうだけれどね」
「怖い先輩だったらあたしに来るし」
華奈子は不安そうな美奈子に笑ってこう言った、昔から怖い先輩はやんちゃな華奈子に来ることが多いのだ。
「だからね」
「私は心配しなくていいっていうの」
「そう、いいからね」
こう言って美奈子を安心させるのだった。
「美奈子は落ち着いていてよ」
「けれど華奈子にいったら」
「あたしはそういうの簡単にかわすからね」
それが上手なのも華奈子だ、こうした要領はいいのだ。
「だから気にしないで」
「それじゃあね」
美奈子も華奈子の言葉に頷いた、そしてだった。
気を取り直した感じになってこう言った。
「じゃあ安心してね」
「それで会おうね」
その先輩の魔女とだと、そう話すのだった。
第三十六話 完
2013・5・10
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