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予言なんてクソクラエ
第十四章 地獄からのメッセージ
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それは過去の波動がそこに残存しており、同じ波長だからすぐさま本人の波長と重なるのである。
 輪廻転生を考慮するなら、人は同じ波長で人種を越えて生と死を繰り返し、さらに太古から人類が地球的規模で移動したという事実を踏まえるなら、同じ波長は地球全体に広がり、その個々の振動の軌跡は縦糸と横糸が織りなす一枚の布のように地球を覆っている。
 その一枚の布とは、無限の、感情、思索、知識が詰まった集合的無意識であり、その中に高レベル(天界)から低レベル(地獄界)まで段階的な振動的階層を形作る。その秩序を作り出す源は物理学でいう宇宙を支配する四つの力なのか、或いは空の内蔵する無限のエネルギーなのか?
 やはり無限は神を連想させる。
 世界的な量子力学の権威であるデイビッド・ボームが言う。「1立方センチの中のエネルギーは、宇宙の今までに知られているあらゆる物質の総エネルギー量をはるかに超えている」と。つまり1立方センチの空は宇宙を創造するほどのエネルギーを秘めていると言うのである。この膨大さは尋常ではない。何か意味があるはずなのだ。ん、宇宙を創造するだって?
 
 突然携帯が振動し、驚いて思わず手から落した。携帯がアスファルトに叩き付けられる寸前、両手でつかんだ。ほっと胸を撫で下ろし、携帯を耳に当てた。磯田の「どうも」と言う微かな声が響いた。
「もしもし、石井です。磯田さん、どうしても力になって欲しいことがありまして。お願いします、ご協力下さい。頭をさげます。」
石井は本当に頭を下げていた。切羽詰っていたのだ。
「それより先輩は何であんなに怒っていたんです?」
「いえ、怒ったりしていません、安心してください。」
「別に心配して電話したわけじゃないけど……。何だか調子がいつもよりキツかったような気がする。本当に怒っていない?」
「ええ、ちっとも。」
「今、九州をほっつき歩いています。いつもの放浪癖が出て、どうしようもなくなって出奔したってわけです。」
「ええ、龍二さんから磯田さんの性癖は聞いていましたから。ところで磯田さんはかなり悟道会に相当食い込んでいましたよね。もしかしたらビルの内部にまで入っていたんじゃありませんか。そうとしか思えない情報を持っていましたから。」
「ええ、地下駐車場まで入っていました。」
「どうやって地下駐車場まで入ったんです。だってあそこは24時間体制で警備しているでしょう。」
「まあ、そうですが、何にでも抜け道はあるもんなんです。蛇の道は蛇。分かりました。教えましょう。ペンはありますか。電話番号を教えます。ええと、03の」
「ちょっと待ってください。今、用意します。03の・・」
メモを取り終わり、聞いた。
「どこの番号ですかこれは?」
「石井さん、あのビルには二百人近い人間がいます。その食料はどうしていると思い
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