第11話 模擬戦
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なれるだけの力がない、という事だ。
(戦闘なら力になれる所じゃないんだけどな)
それは傲慢でも驕りでもなく、純粋な事実として、リクは内心で呟いた。
単純な戦闘能力ならば、リクは間違いなくフェイトより高い。勿論フェイトだけでなく、なのはや、はやて、シグナム、ヴィータといった管理局を代表する強者よりも。
強い事。それ自体は良い。弱ければ結局何も守れない事をリクは「経験で」知っている。だから強い事は良い事だ。
が、それだけはダメなのだ。
少なくとも今は。
(戦闘能力が高い奴なんて探せば幾らでもいる。今必要なのはそんな力じゃない)
リクにとって仲間は何よりも大切な存在だった。それは、リク自身も、僅かに混乱するほどだ。
今でも、昔在籍していた部隊の仲間とは連絡を取ってバカ話をしているし、レイやアキと一緒にボロい居酒屋で酒を呑んだりしている。
以前、リクは考えた。
何故自分はここまで仲間を大切にしているのだろうか、と。
実際この問題を考える事に意味など存在しない。ただ大切。小難しい事等考えずに、思った事を、感じた事に従えばいいだけの話なのだから。
でもまあ、リクが考えた末に出した結論が、「家族」がいないからだろう。というものだった。
リクには家族がいなかった。血の繋がりを無視して、心から、家族と呼べる存在が居なかったのだ。
だからリクは仲間をある種の家族のように感じているのでは。そう考えた。
(今思えばなんて無駄な事を考えてたんだよ俺は)
昔の自分を思い出し、恥ずかしさとバカらしさで思わず苦笑する。
今のリクは、どう考えたにせよ、大切なら全力で護るだけだ。そう考えている。
―――護られるより、護る存在になりたい。
―――支えられるより、支える存在になりたい。
それは愛する女性であるなのはにも、先程までリクの思考を埋めていたフェイトにも、部隊長であるはやても、長年の仲間であり悪友でもあるレイやアキ、そしてその他の仲間にもあてはまる事だった。
「まあ、出来る事から始めるか」
リクはそう呟くのだった。
◆
「だからってなんであたしの訓練になるんですか?」
リクの前にはティアナの姿があった。その隣にはスバルが立っている。
「いやだって、お前が一番俺を嫌ってるだろ?だから親睦を深めようと思ってな」
「必要ありません」
ティアナはぴしゃりとそう言い切り、踵を返す。
そんなティアナに、リクは気にせず声を掛ける。
「まあ待て。俺は強いぞ?それはもう強い。そんな俺が訓練してやるって言ってるんだ。ありがたく受けた方がいいんじゃないか?」
あえての上から目線からの物言い。
そう言えば、
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