第七章 逃走
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も追っ手に加わるだろう。いずれにせよサッカーで鍛えた脚がある。タクシーを待たせた場所まで一気に駆け抜けた。
バックミラーで石井が走ってくるのを見たのだろう、タクシーのドアが開いた。飛び込むようにしてシートに乗り込み、後ろを振り返った。4人の男達は立ち止まり、地団太踏んでいるのがみえる。へたり込む者、両手を膝に当て、肩で息をしている者、相当疲労困憊している。
「へん、ざまみろ。」
と言ったつもりがぜいぜいとしか響かなかった。石井も息が上がっていた。
「お客さん、本当にこっちから回っていいんですね。」
息を整えつつ答えた。
「ああ、そうして下さい。こっちの行き先を気取られないように、遠回りすします。」
10分ほど迂回して朝日食堂に到着した。三人のど派手な少女がたむろする。石井はタクシーの清算を済ませると息を弾ませ駆け寄った。清美と思しき少女がにこにこして歩み寄る。
「さて、私は誰でしょう?ふふふ。」
濃すぎるアイシャドウがまるで狸を思わせた。
「清美か、これは驚いた。まるで別人だ。駅前で見張っていた奴らもこれじゃあ、清美だとは気付かなかったはずだ。」
後ろに控える二人の少女に声を掛けた。
「君たち本当にありがとう。助かった。」
少女達は嬉しそうに微笑み頷いている。汽笛のようなクラクションが聞こえ、振り返ると話を付けておいたトラックの運転手が既にエンジンを吹かして待機している。
「よし、清美。あのトラックで東京までひとっ走りだ。」
二人に別れを告げ、石井と清美はトラックへと向かった。清美は何度も振り返り手を振って、最後に叫んだ。
「家に着いたら必ずメールする。」
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