第八話
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フラッシュバンの爆発と同じくらいまぶしい光が、クルトの目を襲った。
「しまっ……くそっ!!」
即座に魔方陣を描き地面に設置する。10秒後、神秘的な光とともに、クルトの目に視界が戻ってきた。
同時に、懐に少年の姿を映しながら。
「!!」
「もらったあああ!!」
俊司はそう叫びながら右手に持ったナイフを突きつける。
そのまま、銀色のナイフはクルトの腹部を貫いていった。
「あがっ……」
「はあ……はあ……」
脱力したクルトを、ナイフを突き刺したまま思いっきり突き飛ばす。
「紙一重の戦い……だった」
「まだ終わってないけど?」
「!?」
地面に倒れたクルトは、安堵の溜息を漏らす俊司に向けてそういった。痛むはずの体に鞭を入れるようにしながら、クルトはゆっくりと起き上がる。
だが、もう抵抗できるはずがない。そう思っていた。
「僕はまだ死んでないよね?」
「ああ……でも、それだけ深く刺したら抵抗なんてできるわけがない。あきらめたほうが……」
「……ふっ」
「何を笑って……!?」
一瞬笑みを浮かべたクルトの背後から、青白い光が発せられた。俊司は何が起きたのかわからず、ただただ呆然としている。
「想定内だな」
「なっ!?」
そういって再び笑うクルト。俊司は何か危険を感じ、臨戦態勢を整えていた。
そんな彼の四方八方から、半透明の触手が近づいていたにもかかわらず。
「えっ! うわあ!?」
突如体に異変が起きたかと思うと、急に手足が動かなくなっていた。何度も力を入れるが、びくともしない。
そんな彼に、クルトはゆっくりと近づいていった。
「もとより死ぬ覚悟だった。だが……ただで死ぬつもりはないんだよ」
「くそっ」
「僕をしとめたら君は油断する。そう思って仕込んでおいたんだよ……見事にはまってくれたね?」
クルトは俊司の目の前に立つと、自分の腹部に刺さっていたナイフを無理やり引き抜いた。
「あ……」
「そう……旅は道連れ世は情け……だろ?」
クルトは刃先をゆっくりと俊司に向ける。
俊司の額から一気に冷や汗が噴出していった。
「これで……正真正銘のチェックメイトだ!!」
クルト
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