暁 〜小説投稿サイト〜
東方守勢録
第八話
[4/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
フラッシュバンの爆発と同じくらいまぶしい光が、クルトの目を襲った。


「しまっ……くそっ!!」


即座に魔方陣を描き地面に設置する。10秒後、神秘的な光とともに、クルトの目に視界が戻ってきた。

















同時に、懐に少年の姿を映しながら。











「!!」

「もらったあああ!!」


俊司はそう叫びながら右手に持ったナイフを突きつける。











そのまま、銀色のナイフはクルトの腹部を貫いていった。








「あがっ……」

「はあ……はあ……」


脱力したクルトを、ナイフを突き刺したまま思いっきり突き飛ばす。


「紙一重の戦い……だった」

「まだ終わってないけど?」

「!?」


地面に倒れたクルトは、安堵の溜息を漏らす俊司に向けてそういった。痛むはずの体に鞭を入れるようにしながら、クルトはゆっくりと起き上がる。

だが、もう抵抗できるはずがない。そう思っていた。


「僕はまだ死んでないよね?」

「ああ……でも、それだけ深く刺したら抵抗なんてできるわけがない。あきらめたほうが……」

「……ふっ」

「何を笑って……!?」


一瞬笑みを浮かべたクルトの背後から、青白い光が発せられた。俊司は何が起きたのかわからず、ただただ呆然としている。


「想定内だな」

「なっ!?」


そういって再び笑うクルト。俊司は何か危険を感じ、臨戦態勢を整えていた。

















そんな彼の四方八方から、半透明の触手が近づいていたにもかかわらず。










「えっ! うわあ!?」


突如体に異変が起きたかと思うと、急に手足が動かなくなっていた。何度も力を入れるが、びくともしない。

そんな彼に、クルトはゆっくりと近づいていった。


「もとより死ぬ覚悟だった。だが……ただで死ぬつもりはないんだよ」

「くそっ」

「僕をしとめたら君は油断する。そう思って仕込んでおいたんだよ……見事にはまってくれたね?」


クルトは俊司の目の前に立つと、自分の腹部に刺さっていたナイフを無理やり引き抜いた。


「あ……」

「そう……旅は道連れ世は情け……だろ?」


クルトは刃先をゆっくりと俊司に向ける。

俊司の額から一気に冷や汗が噴出していった。


「これで……正真正銘のチェックメイトだ!!」

















クルト
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ