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東方守勢録
第八話
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「まだまだ!!」

「ちっ!」


続けざまに攻撃を続けていく俊司。そんな彼に圧倒されはじめたのか、クルトはひたすら防御に徹していた。


(スピードも威力も増してる? まさか……発動中に感情が変化しても反映されるというのか!?)

「もういっちょ!!」


俊司の攻撃を間一髪でよけるクルト。だが、すこしずつ劣勢に向かっているのはたしかだった。

だが、優勢なはずの俊司ですらあせりの色を浮かばせていた。


(もうすぐスペルカードがきれる……そしたら残されたては……)


スペルカードの発動がきれる時間まで来ていた。

スペルカードの能力がなければ、肉弾戦での勝機は薄くなる。それに、残っているスペルカードも『コンバートミラー』と『科学で証明されし弾薬』の二つ。

残されたチャンスは少ない。心臓の鼓動が徐々に早くなっていった。


(肉弾戦では次でラストか……ここで決めれば……)

(時間的にそろそろか……次で決めてくるだろうし……ここで決定打を加えれば!)


1秒2秒の間が10秒にも20秒にも感じ取れる。あたりを静寂が埋め尽くした。

チャンスをうかがう二人。緊張感があふれ出してくる。


「……くっ!!」


先に動きだしたのは俊司だった。


(右からフェイント入れてたたく!!)

「……」


予定通り、俊司はクルトの右側からフェイントを入れると、即座に切り替えて顔面を攻撃しようとする。


(もら……!?)

「ここでフェイントはアマチュアだな」


きれいに顔面を捉えたはずのこぶしは、そのまま宙をきった。

さっきまで目の前にいたはずのクルトは、すでに残像となっていたのだ。背中から冷や汗が吹き始める。

それと同時に背後から重い衝撃が駆け巡った。


「あ……っがあ!?」


そのまま思いっきり吹き飛ばされる俊司。


「軍人を甘く見ないほうがいい。少なくとも俺はな」

「くそっ……」

「時間だな。これで君の身体能力は元に戻る」

「……」


絶望的だった。

もはや俊司に打つ手はほとんどない。だが、魔力が残っているクルトはまだ攻撃ができる。


「さあ! 終わりにしよう!!」


そういってクルトは俊司に向けて走り始める。


















だが、俊司はこんな絶望に直面しても、なぜが笑みを浮かべていた。












「!?」


変換『科学で証明されし弾薬』


「いけっ!!」


俊司はスペルカードを発動させた瞬間、地面に向けて発砲する。それと同時に
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