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ヴァレンタインから一週間
第24話 悲鳴
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けない理由で有る事は間違いないです。



「我、陣の理を知り、大地に砦を描く」

 昨夜と同じように口訣を唱え、導引を結ぶ俺。
 その刹那。これもまた昨夜と同じように結界材に籠められて行く俺の霊力。

 そうして、ここの経緯も昨夜と同じ経緯を辿り、有る一定以上の霊気が籠められる事に因り、ゆっくりと立ち昇り始める蒼白い光輝にも似た霊気。
 昨夜よりも世界が暗闇に閉ざされている為に、より大きな光を瞳に感じ……。

 次の瞬間、一際大きな柱にも似た光輝を発して、その後、結界材は元の、ただの少し大きめの石。堆積岩へと戻って行った。

「これでふたつ目」

 これで後、残りは三か所。伴星や妖魔どもから直接的な妨害が行われる様子もない事から考えて、意外に楽な――――
 意外に楽な任務。俺がそう考え始めた瞬間。周囲の雰囲気が一変した。

 これは、間違いなく異界化現象。
 そして――――


☆★☆★☆


 さわさわ。さわさわ。
 黒い何かが草の影から、落ち葉の中から、土の中から這い出して来る。

 がしゃがしゃ。がしゃがしゃ。

 さわさわ。さわさわ。
 闇の中に有って尚、黒光りする身体を不気味にくねらせ、大地に広がり、まるで水面が波立つように不規則に蠢く人差し指ほどの細長い生命体が、一斉に俺の足を駆け登って来る――――

 がしゃがしゃ。がしゃがしゃ。

 その瞬間、俺に貼られていた、神命帰鏡符が黒き呪に穢され、無力化されて仕舞う!

「アガレス!」

 瞬間にアガレスを最大能力で起動させる俺。
 その瞬間、異界化した世界と、俺自身に流れる時間との間にずれが生じる。

 そう。ソロモン七十二の魔将第三席。魔将アガレス。その職能は時間を自在に操る事。流石に、敵の時間を完全に操るのは相手からの抵抗される可能性が高いが、俺自身の時間に関してはほぼ自在に操る事が可能。

 奇妙に間延びした空間。落下して来る雨が空中で水玉と化し、ゆっくりとしたスピードで俺に迫る黒光りする蟲の絨毯。

 その間延びした世界で、最初に有希を生来の能力――。重力を操る能力で彼女を包む空間ごと弾き飛ばす俺。但し、彼女自身は生身の身体。超高速で大地に叩き付けるようなマネは出来ない以上、彼女に対して常に意識の領域を割く必要が有る。
 同時に、こちらも生来の能力。雷を操る能力を発動。

 有希が雷公の腕の効果範囲内から外れた瞬間、遙か天空から撃ち降ろされる神鳴りの一撃。
 全周囲に向かって放たれた雷は、俺に向かって殺到しつつ有った黒き絨毯と……。

 その瞬間、俺の背後より聞こえて来て居た『かしゃかしゃ』と言う不気味な音が直ぐ傍で響き……。
 俺の周囲を黒い霧が包み込んだ。

 その霧に包まれ
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