第24話 悲鳴
[8/11]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
かし、真冬のこの季節故にすべての葉を落とし、その根元を深い落ち葉の層に因って地面を隠している場所。
隣に走るアスファルトにて覆われた自転車置き場まで続く道は掃除が行き届いているのですが、この銀杏の木々の根本が落ち葉で埋め尽くされていると言う事は……。
ここは学校の裏手に当たる場所。故に、教師の目の届かない事を良い事にして、掃除の手間を省いて、銀杏の落ち葉を全てその発生源。銀杏の木の根元に送り込んで来た。……と言う事なのでしょうね。
しかし、自らの使う、まして、自らが学ぶ場所の掃除ひとつ真面に出来ない……。
いや、今はそんな事はどうだって良い事ですか。
かなり冷たい。それでも、湿った夜の大気を取り入れる事で思考を切り替える。警戒モードから、戦闘モードへと。そして、俺は持って居た傘を有希に差し出した。
少しの戸惑いを発した後、その傘を受け取る有希。
「結界の要石を待機状態にする際に必要な導引は、傘を持って居る状態では結ぶ事が出来ないから」
説明を求めている彼女の瞳に対して、傘を渡した理由を口にする俺。
そして、彼女の瞳に了承を示す色が浮かぶのを確認した後に、闇の中で、ぼぉっと淡い光を発する、結界の要石に視線を向けた。
そう。其処に存在していたのは、昨夜と同じ、何の変哲もない石。学校の敷地内に有る元々の地面を利用した土がむき出しに成った場所にならば、間違いなく見つける事が出来る堆積岩。但し、光って見えるのは霊気を発して居るから。
おそらく、見鬼を使用出来ない普通の人間から見ると、何の変哲もない、普通の石にしか見えないでしょう。
一応、雨に濡れた地面から見えている部分は拳よりは大きく、足よりは小さいレベルですが、その石が感じさせる存在感だけは、他に転がって居る石とは比べものにならない位の大きな物で有る事は間違いない。
「そうしたら、すまんけど、傍に居て、俺のする事を見て置いてくれるか?」
その問い掛けに、微かに首を上下に振る有希。
その心は、……知的好奇心が四割。後の六は色々な感情が集まった雑多な物。
おそらく、昨夜は少し離れた位置から見つめていた作業を、今晩は隣から見つめる事が許された事に対する喜びと、知的好奇心に対する心を示しているのでしょうが……。
もっとも、実は彼女に傍に居て貰う理由は、雨が精神の集中を乱すから、傘を差しかけて置いて欲しかっただけなのですが……。
正直に告白すると、彼女が傍に居られると、別の方向に思考が向かって仕舞い、少し精神の集中を妨げられるのですが……。それでも後方からの有希の視線を感じながら、更に冷たい冬の雨に晒されて意識の集中が乱れる事の方が、霊気を籠める作業への影響が大きいと判断してのこの依頼ですから。
かなり、情
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ