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ヴァレンタインから一週間
第24話 悲鳴
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定的な雰囲気を発する事もなく、彼女は俺の事を見つめ返したので、これは肯定のサインと受け取ったとしても問題はないでしょう。

 それならば、

「俺が向こうの世界に去った後。有希はどうしたい?
 有希が望むのならば、瑞希さんが通った高校の方に通う道も有る」

 そう問い掛ける俺。
 そして、当然、其処で仙人の見習い道士として修業を積んで、ここ水晶宮の仕事を手伝うと言う選択肢も存在しています。

 これはつまり、現在の、情報統合思念体の軛から解き放たれた彼女の目の前には、有りとあらゆる可能性が広がって居ると言う事です。

 確かに、人工生命体で有る以上、特殊なメンテが必要な可能性も有ります。それでも、それは有償でここ水晶宮ならば受ける事は可能。
 ここは別に、生き方を強制して来るような組織では有りません。所詮は互助会程度の組織ですからね。

「有希が望むのならば、この世界で一般人として。涼宮ハルヒや情報統合思念体。歴史の改竄を行う未来人などとは関係のない、普通の人間としての暮らしを手に入れる事も可能なんやで」

 思念体の本当の目的が自律進化なのか、それとも、ハルヒに訳の判らない能力を授けた神と同じ目的なのかは判りませんが、そんな連中に関わり合うのが嫌ならば、それも可能な未来を選ぶ事が、今の彼女には許されているのですから。

 そんな俺の問い掛けに対して、玄辰水星は何も口を挟んで来る事は有りませんでした。
 その理由は、彼女は、俺が有希に対して問い掛けている言葉の意味を理解しているから。

 有希(彼女)の心や身体に刻まれていた楔について、有希以上に知って居る存在だから。

 そして、神代万結も、俺と有希のこのやり取りを見つめるだけで、何も語ろうとはしませんでした。
 その理由は、彼女が有希と同じ存在だから。
 しかし、おそらく万結は自らの意志で、ここ水晶宮の仕事を手伝っている存在でも有るから。

 彼女(万結)が自らの意志でこの道を選んだのなら、有希にも自らの意志で未来を選ぶ権利が有って当然だと思って居るはずですから。

「問題ない」

 しかし、彼女(有希)は、首を左右に二度振った後、短く、そして簡潔に答えた。
 拒絶。……いや、其処までは強くない。しかし、否定の言葉を。

「そうか。有希がそうしたいのなら、俺はそれで構わない」

 成るほどね。その方がより彼女らしいか。そう考えながら、何気ない答えを返す俺。
 しかし、その刹那。

 彼女のその瞳が微妙な揺れを示し、
 同時に彼女の感情が、何とも表現出来ない微妙な気を放った。

 その瞬間。俺は自らの迂闊さに、心の中でのみ軽く舌打ち。
 俺の方としてはそんなに強い意図は無かったけど、取り様によっては、先ほどの俺の答
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