第24話 悲鳴
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した。もう、問題はありません】
そんな、俺と有希のやり取りを慈母の如き微笑み、……と言うべき微笑みを浮かべながら見つめていた玄辰水星が、【念話】で有希の検査の結果を伝えて来る。
成るほど。矢張り、通常の空間でチェックを行って居た訳では無く、時間と言う支配の及ばない壺中天のような異空間で行って居た、と言う事ですか。
表情に表す事もなく、そう考えていた俺に対して、更に続けて、
【内容に付いて、説明しましょうか?】
……と、問い掛けて来たのでした。
不意を突かれた上に、実際、有希を視界の中心に据えていた瞬間で有った為に、少し平静を装う事に失敗する俺。
そんな俺を、訝しげな、……とまでは言わないにしても、少し、不審な様子で見つめる有希。但し、これは非常に微妙な違い。表面上から見た雰囲気は、先ほどこの部屋に侵入した時に彼女が発した気も、そして、今、俺を見つめて居る彼女が発して居る気にも、明確な差を感じる事は難しいでしょう。
現在、俺が感じて居るのは、もう少し深い部分の物ですから。
これは、俺と彼女の間を通して居る霊道を通じて、感情が伝わり易く成って居ると言う事なのでしょうね。
まして、俺は受肉した存在との契約は初めてですから、その部分がどのように影響しているのかがまったく判りませんから。
【その部分に関しては、聞きたくありません】
先ず、玄辰水星の問いに関しては、そう答えて置く俺。
いや、これは間違いなく逃げの一手。本来ならば知って置くべき内容。
何故ならば、俺は相馬さつきと約束したから。
彼女。長門有希がもし人類に取って仇為す存在ならば、俺が間違いなく彼女を滅する事となる、と……。
ただ……。
銀のフレームに囲まれたガラスの部分と、濃褐色の虹彩部分に映り込む俺自身のマヌケな顔を確認した後、あからさまにため息にも似た息をひとつ吐き出す俺。
そう。その部分を俺が知る事は、何故か、彼女自身が望まないような気がするから。
少し。いや、かなり挙動不審となった俺を見つめる有希と万結。
「なぁ、有希」
そんな微妙な雰囲気の中、少し間が持てなくなった俺が、次の動きを開始する。
ただ、今問い掛けようとして居る内容は、本来は焦って聞くべきではない内容なのかも知れない。しかし、そう遠くない未来に俺は、元々暮らして居た世界に帰らなければならない人間。
そして、彼女はこの世界で暮らして行かなければならない人間でも有る。
向こうの世界に彼女を連れて行く事が難しい以上、考えて置く必要の有る内容でも有りますから。
これから行う問い掛けは……。
俺の問い掛けに対して、明確に、答えを返して来る事は有りませんでした。しかし、否
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