第24話 悲鳴
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重厚な、と表現すべき扉に対して二度、ノックを行う俺。
先ず、西宮の図書館から麻生探偵事務所へと転移魔法で跳び、其処に施されている魔法陣からこの場所……。おそらく、壺中天と言う仙術で造り上げられた異空間に存在する、現在に蘇えった水晶宮へと移動した俺。
ここは、間違いなくかなり厳重な結界の内側。そんな場所に、簡単に転移魔法などを使用して潜入する事は出来ませんからね。そもそも、俺の能力では場所をイメージする事さえ難しい場所です。
其処から、廊下を辿って、ここに到着するまでに、何度か微かな違和感を覚える見えない境界線のような物を越えた事から考えると、有希の傍に直接転移する事は、かなり難しい場所と言う事なのでしょう、この水晶宮と言う場所は。
ノックの後の一瞬の空白。そして、内部から、了承を示す答えが返された後に扉を開く。
其処は今朝、玄辰水星や和田さんを待っていた応接室。その部屋には現在、有希と、その隣に座る神代万結。そして、ソファーのホスト側に座る玄辰水星。このふたりの少女と、一人の……元少女が存在して居た。
但し、普通に考えると会話が成立するとは思えないメンバーなのですが、何故か、玄辰水星が少し微笑みながらこちらに向いた時の雰囲気は、明らかに何らかの会話が為されていた様子。
まして、何故か、彼女の正面に座る二人組からも、俺に対する良く判らない視線を向けられて居るのですが。
一瞬の空白。そして、奇妙な疎外感……。いや、違うな。少女二人から注目されているのは間違い有りませんが、それでも、少し登場のタイミングが悪い、と言う非難にも似た視線を浴びている、と言う状況。
これは、ガールズ・トークが興に入ったトコロに乱入した招かれざる客状態に、俺が成って仕舞ったと考えるべきですか。
それにしても……。
有希と、真面に会話を交わす技能が有るのは俺だけだと思っていたのですが。
俺は、玄辰水星から神代万結。そして、短いながらも、初めての同棲相手となった少女を順番に瞳に映しながら、非常にくだらない感想をグダグダと考えた後、
「有希、遅く成ってすまなかったな。もしかして、待たせたか?」
……と問い掛ける。
但し、現在の時刻は午後の六時過ぎ。図書館の閉館時間からすると、そんなに遅れた訳では有りません。この言葉は軽い挨拶のような物。
そんな、ガールズ・トーク真っ最中の現場に入り込んで仕舞った俺に対して、
「問題ない」
……と、普段通りの答えを返して来る有希。
もっとも、メガネ越しの冷たい視線、と言う物を感じる事は有りませんでしたが。
【情報統合思念体に因る、長門さんへの精神的な支配や、その他の危険と思われる部分は全て解除しま
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