第四章 再会
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こしたのである。
彼らが、何処からその知識を引き出したかは、言うまでもない。全ての動物は、人間同様、先に述べた集合的無意識を持っており、個々が得た知識はそこに瞬時に蓄積され、どの固体もそこに容易にアクセスし、知識を得ることができたということである。
しかし、人間は、脳の異常な発達によって自我が肥大化したため、他の動物のようにその能力を十分に発揮出来ない。人類にとって、この種の保存に必要な能力を失ったことは大きな損失と言える。
さて、この集合的無意識という概念を提唱したのはカール・G・ユングだが、彼に言わせれば、「それは、意識の心から閉ざされていて、心霊的内容、人が忘れ去り、見落としているあらゆるもの、またその原型的器官の中に横たわる無数の時代の知恵と体験を」を含み、人々を導き、役立っているという。そしてユングはこう結ぶ。「我々の意識などは無限の大海(集合的無意識)に浮かぶ小島のようなものである」と。
ユングは、集合的無意識は祖先にまで遡る叡智を含むと言うが、これが事実なら、そこはまさに知識と情報の宝庫である。ここにアクセスすることにより、地球の地殻の変動周期も、地球物理学、地質学や地震学等の最新の科学情報や知識をも引き出せ、大地震のような災害の発生時期、規模、被害状況の予測も可能となる。
また集合的無意識という大海に浮かぶ個々人の意識から、世界中で起きている政治的陰謀やテロの情報も事前に入手可能ということになり、偶発的な事故以外の予言は、ある程度理解の範囲内に入ってくる。
つまり、人間が失ったその能力、勿論その能力の強弱によって引き出せる情報量は異なるだろうが、それを他の動物同様未だに持ち続けている人でいれば予言は可能なのだ。それが超能力者と呼ばれる一群の人々なのである。
ふと、あのストーカー野郎の顔が浮かんだ。一瞬、頭に血がのぼった。あの野郎はその能力を悪用し恐怖という餌で三枝を釣った。しかし悔しいという思いより未曾有の大災害に対する恐怖の方が勝った。恐怖に顔を引き攣らせた三枝の表情を思い出したのだ。
あの顔は何かに怯えていた。それを必死で隠そうと演技を続けていた。石井の心に三枝の恐怖が伝染し、いつもなら暖かく包み込んでくれるはずの煌く星々さえ無慈悲に人間達を見下ろしているように感じた。
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