第四章 再会
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、空中散歩にもお連れしている。いったい何が不満なんです。」
少年は徐々に間合いをつめていた。その美しい顔には不釣合いなほど、体は筋肉でごつごつしいる。男は素知らぬふりで、もう一人の男に目線で合図を送る。もう一人の男が後ろのポケットから何かを取り出した。少年が吠えた。
「お前らが、ここを檻と呼んでいるのを知っているんだぞ。ここはまさに檻だ。そして俺は動物園の熊のように、この狭い檻の中でうろついているだけだ。いいか、俺はここを出るんだ。そこをどけ。」
少年は躍り上がるようにして男に蹴りを入れた。男は半身になってやりすごし、少年の蹴り出した脚を右脇に抱え込み、捻り倒すとうつ伏せにして床に押さんだ。
「おい、重雄、今だ。」
もう一人の重雄と呼ばれた男が素早く少年の腕に注射針を刺し込む。狂ったように暴れる少年は次第にぐったりとしてきた。少年のか細い声が聞こえた。
「いつか強くなって、お前らを倒して・・・」
二人の男はふーと溜息を漏らした。男が呟くように言った。
「また殺っちまった。これで二人目だぜ。なあ、重雄、こんな奴の後始末をしている俺達は、地獄に堕ちるかもしれんな。」
重雄が答えた。
「地獄なんてある訳ないですよ。この世こそ地獄です。」
「この世こそ地獄か。重雄もいいことを言う。確かにその通りだ。」
寂しげに笑うと男は立ち上がった。
「しばらく独房に入れておけ。」
重雄が答えた。
「独房ねえ、独房ったって俺のアパートの3倍はあるんだから。全く、とんだ野郎ですよ、こいつは。何が籠の鳥だよ。ざけんなって。」
「それと、女の死体の始末をしておけ。」
「えっ、片桐さん、手伝ってくれないんですか。」
「俺には大事な仕事がある。北海道に出張だ。樋口と四宮と三人で始末しろ。おい、いいかきっちりと仕事をしろよ。」
(三)
三枝節子から電話が入った。いつもなら例のホテルが指定されただろう。しかし彼女は渋谷の喫茶店で会いたいと言う。三枝の意図は明らかだ。待ち合わせ場所にはめずらしく先に来て口を引き結んで控えている。もう結論を聞いたも同じだった。
「珍しいじゃないか、手術が手短に終わったわけか。」
「ええ、・・・」
と言ったまま、俯いている。別れ話を自ずと悟らせようとしているかのようだ。せめて聞くだけ聞いてみようと思った。
「君の態度で、君が僕と別れようと決意していることは分かった。いいだろう、別れよう。電話を貰った時から覚悟は出来ていたから、そのことについては気にすることはない。君の事はきっぱりと諦める。」
「ごめんなさい。まさかこんなことになるなんて……。」
「しおらしい君なんて似合わない。いつものように堂々としていろよ。」
またしても下を向いて、押し黙った。例の件、地球を襲う未曾有の大災害のことに触れられたく
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