第二章 予言
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谷だ。一致するのはこれだけ。指紋で調べられなくはないけど、我々素人には手に負えない。」
「でも何が目的なの。」
「勿論、君を救うことさ。」
「馬鹿馬鹿しい。救いが必要なのはあの男よ。」
「その通りだ。しかし、最初の予言は当たった。場所もミラノ。僕の記憶では実際に死者の数も100名を超えた。正に当たっている。」
「たまたまよ。それにこの巨大地震が眉唾よ。どうかしているわ。あれで何の会社だか分からないけど、二部上場の社長だなんて笑っちゃうわ。」
「それなりの会社だ。コンピューターのソフト開発をやっている。社員は220名、資本金は一億。もしかしたら、社長は新興宗教かなにかに凝っているんじゃないか。彼にそんな話を聞かなかった?」
「そんな素振りも見せなかったわ。でもビップクラスのお見合いパーティなんてロクな奴がいないわ。もうたくさん。」
既に手紙に興味を失っている様子だ。さかんに料理にお喋りに興じようと話を向ける。石井はお喋りに相槌をうちながらも、予言のことが気になった。時期が若干ずれたとはいえイタリア、ミラノでの列車事故は起こり、犠牲者の数も一致している。たまたまの一言で片付けられない思いが石井にはある。
と言うのは、石井の母親は石井が中学の時に癌で亡くなったが、特殊な能力の持ち主だったからだ。その能力の一つは未来を予言する能力だ。未来を夢で見る。
「昨日、こんな夢を見たの。」
と話し、その後、実際にそれが起こる。世界で起こる大地震やその他の大災害に関して何度も言い当てたのである。
ただその災害が起こる時期についてはかなり幅があり、はっきりとは分からないようだった。母の予言の中で特に印象に残っているものが二つある。一つは、大きな空港で二つのジェット旅客機が噴煙を上げて燃えているという夢だった。
夢を語った翌日、その夢と寸分違わぬ写真が新聞の第一面を飾った。降下する旅客機と離陸する旅客機が接触した。その二機が炎上している写真だ。航空官制史上ありうべからざる事故として記録されたのだが、まるでその新聞を事前に見ていたような予言であった。
二つ目は、未だ成就されていないが、近々の中国北朝鮮情勢からして、もしかしたら起こり得ると思うようになった。その日の朝、母は青ざめた顔で語った。「北海道に原爆が落ちた夢を見たの。キノコ雲が大きく傘を広げて、・・・本当に恐ろしかったわ。」
この二つ目の夢予言は、その禍々しい情景が瞼に焼きつき、鮮明な映像ととして少年の脳に記憶された。原爆の話は未だに成就していないが、いつかそのような事態が出現するのではないかという恐れが心のどこかにある。この予言は母が死ぬ一年前のことだった。
(三)
結局、強引な三枝の誘いに乗って、なるようになった翌日、ふかふかしたベッドで目覚めると、すでに隣はも
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