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銀河英雄伝説〜その海賊は銀河を駆け抜ける
第四十三話  決戦(その二)
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では売国奴、恥知らずと皆から非難を受けた。だがあの条約を結んだから軍備を増強できた……」
「……そうだな」

誰もやりたがらなかった交渉だ。周りからは止めた方が良いと忠告された。政治生命を失う危険性が有るとも忠告された。ホアンもその一人だ。だが一つ間違えば同盟は二進も三進もいかなくなる可能性が有った。自分が出るしかなかった……。

「無防備都市宣言の事もそうだ」
「……」
各有人惑星の知事に防衛作戦を説明した時、どの知事も同盟政府だけが生き残ろうとしているのではないかと猜疑心を露わにした。卑怯者と罵られたことも有る。それでもなんとか説得した。だから同盟はまだ国家として纏まっている。

「辛かったよ、何度も投げ出したいと思った。私はあの思いを無駄にして欲しくないんだ」
「……それは」
「エゴだと思うか? だがこの国を守りたい、民主共和政を残したい、その一心で耐えたんだ。それでもエゴか、ホアン?」
「……」
ホアンが太い息を吐いた。
「勝って貰わなければ困るんだ。勝って貰わなければ……」
頼むから勝ってくれ、そしてこの国を守ってくれ、それだけが私の望みだ……。




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