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銀河英雄伝説〜その海賊は銀河を駆け抜ける
第四十三話  決戦(その二)
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戦闘に入りました。帝国軍は四個艦隊、兵力はこちらとほぼ同数の六万隻。総司令官はローエングラム公です」
「うむ、それで」
そこまでは分かっている。その先だ、私が訊きたいのは。

「戦闘は約十時間続いた様です。現在では両軍ともに兵を引き艦隊の再編と補給、そして休息を取っています」
悠長な、そう思ったのは私だけだろうか……。不満を押し殺して更にクブルスリー本部長に問いかけた。

「それで、戦闘はどちらが有利だったのかね」
クブルスリー本部長の表情が多少歪んだように見えた。思った通りだ、状況は同盟軍にとって不利だったのだろう。良ければ私が訊かなくても自分から積極的に話す筈だ。

「幾分同盟軍が不利だったようです。各艦隊とも多少の被害が出ましたがもっとも被害の大きかった第一艦隊は三千隻近い損害を出したと報告が有りました」
「……」
主力の第一艦隊が三千隻近い損害を出した? 幾分同盟軍が不利という状況なのか、それが……。私が視線を向けるとクブルスリー本部長はバツが悪そうな表情をした。

「ビュコック司令長官からの連絡では五月一日午前零時をもって戦闘を再開するそうです」
午前零時か、時計は二十二時三十八分を指している。あと一時間二十二分……。
「勝てるかね?」
「……勝って欲しいとは思いますが……」
歯切れが悪いな、表情も暗い、難しいと言う事か……。

「補給基地の制圧に出た帝国軍がガンダルヴァ星域に戻るのは何時頃になるのかな?」
「早ければ八日か九日には戻ってくると軍では想定しています」
八日か九日、後一週間……。
「時間が無いな」
クブルスリー本部長が頷いた。

「正直に申し上げますと状況は良くありません。帝国軍の指揮官はローエングラム公以外もいずれも有能です。ローエングラム公を斃そうとすれば彼らが前に塞がるでしょう。同盟軍は彼らを排除してローエングラム公を斃さなければなりません」
「……分かった、状況に変化が起きたら教えてくれ。ご苦労だった」
クブルスリー本部長が一礼して執務室を出て行った。

「不満かな、レベロ。軍は良くやっていると私は思うがね」
「……」
「三倍以上の敵を相手に時間の制約は有るが五分の条件にまで持ち込んだんだ。それは認めても良いだろう」
「良くやっているじゃ駄目なんだ! ホアン」
少し声が強かったか。私が答えるとホアンが肩を竦めた。

「この戦いは負けられないんだ。負ければ民主共和政が終焉しかねない、そうだろう?」
「……」
「彼らの努力は認めても良い、だが勝たなければ駄目なんだ……」
溜息が出た。ホアンがそんな私をじっと見ている。

「ホアン、私がどれだけ皆から非難を受けたと思う」
「それは……」
ホアンが何かを言いかけて押し黙った。
「ヴァンフリートの一件
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