第四十三話 決戦(その二)
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楽かなと思ったけど結構きついな。攻撃の主導権が相手に有るわけだからな、せっかく取った主導権も向こうに渡してしまう事になる。兵力に余裕が有るならそれも良いが今はほぼ同数だ、結構精神的にきつい。ラインハルトがバーミリオンで攻勢に出るはずだよ、性格的なものも有るだろうが、その方が楽なんだ。戦争の本質ってのは攻めなんだな、主導権を握りやすいんだろう。
ヤンが押し寄せてきた時はやばかった。あれは俺を斃しに来たのかな、多分そうだろう。艦橋も凍りついていた、精鋭部隊ってのは押し寄せるだけで迫力が有る。後退するって手も有ったがそれだと相手を勢い付けるだけだと思った。だから思い切ってルッツに中央突破をさせる事にした。
第一艦隊は混乱していたからな、上手く突破できれば後方からヤン、モートンを攻撃できる。或いは先にカールセン、ホーウッドをワーレンと前後から叩く事も可能だ。危険ではあるが俺が有る程度時間を稼げれば十分に勝機は有る、そう思ったんだ。
だがメルカッツが艦隊を少し横に移そうと言ってくれた。なるほどと思ったね、パエッタは俺とルッツの丁度中間あたりの前方に位置していた。ルッツが中央突破を図るとなれば多少斜めに進む事になる。ヤンが俺を目指してくればミュラーとルッツから側面を撃たれやすいんだ、そして俺からは正面を攻撃される。
中央突破を図りつつヤンを誘引して三方から叩くか……。ちょっと俺には考え付かなかった手だ。流石はメルカッツ、堅実にして隙無しだな……。亀の甲より年の功とは上手い事を言うもんだ、年寄りはなかなかしぶとい。そしてもう一人この戦場にはしぶとい老人がいる。同盟軍宇宙艦隊司令長官、アレクサンドル・ビュコック……。
ビュコックも楽じゃないだろう。本来なら攻撃の主軸になるはずの第一艦隊があまり当てにならないと思ったはずだ。頭が痛いだろうな、その状態で帝国軍と戦って勝たなければならない……。今頃は戦力の再計算をしているかもしれない。一体誰をヤンと組ませるか……、モートン、カールセン、ホーウッド……。
帝国軍の増援が来るのは早ければ八日か九日と言ったところだろう。俺にしてみれば未だそんなにあるのかと言った気持だが相手にしてみればそれだけしかないという焦慮が有るはずだ。ビュコックは一体何を仕掛けて来るか……。想像したくないな、溜息が出そうだ。
宇宙暦 799年 4月 30日 ハイネセン 最高評議会ビル ジョアン・レベロ
「それで、状況は」
私が問いかけるとクブルスリー本部長がチラリとホアン・ルイ国防委員長に視線を向けた。ホアンが微かに頷く、それを見てクブルスリー本部長が咳払いをして話し始めた。
「四月二十六日に同盟軍五個艦隊、約六万隻の艦艇がガンダルヴァ星域に進出、三十日間近になってから帝国軍本隊との
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