暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは 〜優しき仮面をつけし破壊者〜
無印編 破壊者、魔法と出会う
19話:別れは辛いが、だからこそ再会は楽しみになる
[8/10]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
たら、きっと名前を呼ぶ。だから、なのはも私を呼んで。なのはに困った事があったら、今度はきっと…私がなのはを助けるから」

フェイトの顔を見上げていたなのはは、また顔をフェイトの体へと埋め、フェイトを抱きしめる。フェイトも抵抗する事なく、しっかりと返すように抱きしめる。

「…フェイト」
「士…」

ここまで一度も開けずにいた口を、俺はようやく開いた。俺の視界には今、まっすぐ俺の目を見るフェイトしか映っていない。

「士には、たくさん助けてもらったね。ありがとう」
「ありがとうなんて、やめてくれ。結局俺は、何も守れなかった」

そう返した俺の言葉に、フェイトは少し驚いた様子で首を傾げた。

「…プレシアを、守ってやれなかった。本当に…すまない…」
「士……」
「お前が守りたかったものを…目の前で失わせてしまった……」

さすがにフェイトの姿を直視できなくなり、俺は頭を垂らしてしまう。言葉で赦されるとは思っていない。だからせめて今、あいつの悲しみの受け皿になろうと思ってた。



「ううん、それは違うよ。士」



「……え?」

だが、次に聞こえてきた言葉は、予想外のものだった。
驚いて、思わず垂らしていた頭を上げる。その先には、さすがに抱きしめるのを止めたなのはと、フェイトがいた。

「士は、何も守れなかった訳じゃない。私を…なのはを守っていくれた。母さんの本当の気持ちを、私に…母さん自身に教えてくれたのは……紛れもない、士、君なんだよ」
「……だけど、俺は…!」

さらに言葉を続けようとするが、それを阻むように、金色の髪が、俺の視界に映った。
気づいた時には、フェイトが俺を抱きしめていた。

「っ!?」
「だから…私はお礼をいいたい。士…君と出会えて、私は良かったって思ってる。士の存在が、士の言葉が…私を支えてくれた。私を後押ししてくれた」
「……止めてくれ…俺は、そんなことを…」
「ううん。私にとって士は、士の言葉は……とても大切なもの。だから……」

そこで一旦言葉を切り、フェイトは俺の顔を見てくる。

「母さんの死を、一人で背負おうとしないで。母さんが死んじゃったのは、士のせいじゃないから」

俺は目から出そうな雫を抑えながら、フェイトを抱きしめる。

「…俺の方こそ、ありがとう。今のは俺には、もったいない言葉だ。ありがとう…」
「うん…」

少しの間、フェイトを抱きしめていると、クロノがやってくる。

「悪いが、そろそろ時間だ」
「…うん」
「フェイトちゃん!」

クロノの言葉に対し、俺から離れたフェイトが頷く。なのはは慌てて、自分がつけているリボンを外し、フェイトに差し出す。

「…思い出にできるもの、こんなのしかないんだけど…」
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ