虚空爆破
Trick12_てめぇはてめぇだろ! 他人と比べるな! 自分を見ろ!!
[3/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
「いつだってそうだ、僕は力に」
「その求めていた能力はレベル0でも手に入る力に負けてんだぞ?
何言ってんだ、てめぇ?」
信乃は何の起伏もない、何の感情も感じられない言葉を連ねる。
「力でねじ伏せられるとか言ったな。誰かにいじめられでもしたか?
ふざけるな。こんな馬鹿馬鹿しい茶番劇が成功するわけねえだろボケ。
いじめ程度の経験しか積んでない奴がめそめそ調子に乗るな。
頭かち割るぞ!」
無感情だった信乃の言葉に、ようやく感情が入っていった。
「面白くねえ!全然おもしろくねえよ俺は!何がしたいんだてめぇは!
本当にやるべきことから目を逸らして、何もかもを根こそぎ無駄遣いして、
言い訳して嘘吐いて誤魔化して、こそこそと卑屈に生きやがって!
怠けんな。簡単なことだろうが、サボってんじゃねえ!
なんでもっとしゃんとしないんだてめぇは!曲がってんじゃねえぞ!」
言葉に乗せられる感情。信乃の 怒りの 感情。
「胸を張れ、背筋を伸ばせ、自分を誇れ、敵に吠え俯くな!
諦めんな見限るなてめぇで勝手に終わらせんな!
てめぇはてめぇだろ! 他人と比べるな! 自分を見ろ!!」
そう言って信乃は男を通りすぎて御坂の方へと歩いてきた。
男は今度こそ力が抜けて座り込んだ。
信乃はそのまま御坂の前に立ち、御坂の頭を撫でた。
なぜ撫でたのかは御坂も、信乃本人も分からない。
ただ、そうしたかっただけだ。
御坂は信乃の言葉に固まっていたが、撫でられてようやく信乃の顔を見た。
あの眼は元に戻り、いつもの黒になっている。
信乃は口元だけが少し笑っていたがが、悲しそうな目をしていたので何も言えずに
御坂は頭を撫でられていた。
・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
爆弾魔の男は信乃が通報した警備員に連行された。
御坂と信乃はデパートの前で待っていた佐天と初春の元へと歩く。
「御坂さん! 信乃さん! 大丈夫ですか!?」
初春がこちらに気付いて声をかけた。そして佐天と一緒に走ってくる。
信乃はいつもの笑顔を2人に向けた。しかし、御坂の方は俯いて元気がない。
信乃たちの元に来た2人。佐天が信乃の手に気付いた。
「信乃さん!? その手の怪我は!? 犯人にやられたんですか!?」
信乃の両手は血で滲んだ布が巻かれている。応急処置とも言えない簡単な
巻き方で、巻いたのは信乃本人。
佐天は、手は爆発によるものではなく犯人を捕まえた時に
できたものだと思って聞いたのだろう。
爆発では手の先だけが怪我をすることはありえない。普通なら。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ