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駄目親父としっかり娘の珍道中
第0話 人の名前を決めるのは案外時間が掛かる
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「あぁ、今月の分ね。あれなら男の夢につぎ込んだからもう一銭も残ってn……」

 言い終わるよりも前にその男こと【坂田銀時】の顔面に老婆の鉄拳が叩き込まれた。銀時の顔は梅干の様にめり込みその中央には老婆の鉄拳がめり込むと言う大層摩訶不思議な状態になっていた。

「要するに、またギャンブルで擦ったってんだねぇ? あんたこれで何回目なんだい! もう半年も家賃払ってないだろうが! あんたあの時の言葉忘れたってんじゃないだろうねぇ?」
「るせぇ! ねぇもんはねぇんだよ! 一々金金騒ぐんじゃねぇ糞ババァ! 金の亡者かてめぇはよぉ!」
「一銭も払えない癖して偉そうな事言ってるんじゃないよ! 文句があんなら今すぐ家賃払ってみな!」
「出来りゃとっくの昔にそうしてらぁ! それが出来ねぇからこうして苦労してんじゃねぇか! 察しろよ糞ババァ!」

 そんな感じで老婆と銀時の激しい口論が勃発しだした。
 回りを歩く人達にとっては最早御馴染みの光景ならしく、チラリと見ただけでそのまま通り過ぎていく。関わりあいたくないからだ。
 だが、そうして空気を読んでいる輩も居るのだがそれをこの赤子に要求しようと言うのは無理な話であり。
 激しい口論をしている二人に遠慮もなくこれまた盛大な音量で泣き始めるのであった。
 すると、その泣き声を耳にした老婆がその赤子を見る。

「あら、何だってこんな所に赤ん坊が寝てるんだい?」
「どうせどっかの馬鹿なアベックが出来ちゃった的な感じで産んだんだろう? そんで育てられないからってんで捨てた類だろうが。放って置きゃ良いだろうがそんなガキ」

 あくまで面倒ごとには関わりたくない銀時はその赤子を放っておくように言うが、この老婆はそれを聞いて頷く事など出来る筈もなくそっと赤子を抱き上げる。

「おぉ、よしよし。どうやら腹空かしてるみたいだねぇ」
「って、人の話聞いてたかババァ?」
「お前も来るかぃ? どうせその顔じゃまだ朝飯も食ってないんだろうが。ついでで良いんなら食わしてやるよ」
「是非お供します!」

 飯を食わしてくれると言うのなら話は別だ。そう言うかの如く赤子を連れて老婆が店に入る後に続き銀時も店の中へと入って行ったのであった。
 え? 家賃の話はどうしたのかだって?
 それはこの二人にしか分からない話なのです。




     ***




 丼一杯に盛られた飯の上に甘い宇治金時を乗せた飯。これが銀時の大好きな食事であった。
 大の甘党である彼にとってはこれの方が好きなのだ。側から見ると吐き気を催す代物だろうが彼にとっては三食食っても飽きない正に最高級の食べ方なので止める気は一切ない。
 人はその丼を【ゲテモノ】と蔑むだろうが、この男、坂田銀時は【宇治銀時丼】と
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