第0話 人の名前を決めるのは案外時間が掛かる
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に解決して去ろうとする男。要するに放っておくと言うのだ。
どうせ何処かの馬鹿なカップルが出来ちゃった結婚しちまって出来たは良いけど育てられないからって事でその辺に捨てた不幸な赤子なのだろう。
こんな時代には良くある事だ。
一々構っていられない。今はそれよりもなすべき事がある。
そう勝手に介錯しながら男はその赤子の前を通り過ぎようとした正にその時だった。
「ふぎゃあああああぁぁぁ! ふぎゃあああああぁぁぁ!」
突如、天を突き破るかの如く盛大な音量で赤子が泣き喚いたのだ。
それはもう付近を歩いていた誰もが耳を塞ぐ程だった。
当然、その一番近くに居た男の鼓膜には大ダメージは確実なものでもあった。
「う、うるせぇぇぇ! なんつぅ大音量で泣くんだよこのガキはぁ!」
耳を塞ぎながら男がその赤子に近づく。赤子を上から見下ろすと、不思議とその赤子は泣き止んだのであった。
ホッとしながら赤子から去ろうとすると、またしても赤子が大音量で泣き出す始末。
再び耳を押える男。すると回りの目線が自分の背中に向けて突き立てられてる感覚に気づく。
振り返ると、自分と同じように耳を押えながら歩いていた人達が冷たい目線で男を睨んでいたのだ。
「な、何だよお前等! 言っとくけどこいつは俺のガキじゃねぇぞ! たまたま其処に転がってただけだ! 断じて俺のガキじゃねぇ! 第一俺はまだ誰とも(チョメチョメ)してねぇんだ! 俺のガキが生まれる確立なんて天文学的にありえねぇんだよ! そもそもこのガキの何処に俺の遺伝子が通ってるって証拠が……」
必死に弁解の弁を叫んでいた男。当然その声は赤子の鳴き声並に匹敵するほどの五月蝿さでもある。従って、この男の丁度後ろの居に住んでいる住人の耳にも当然入っているかの如くであり。
「朝から何大音量で怒鳴り散らしてんだこの腐れ天パーがぁぁぁぁ!」
突如、男の後ろにあった扉が勢い良く開き、中からはこげ茶色の着物を着た老婆が飛び出し、男の背中にダイビングキックを放った。
当然背中を向けていた男はそれに気づく事など出来ずそれを諸に食らってしまった。
「そげぶぅ!」などと叫びながらその男は無様に地面に顔面から叩きつけられる。
そんな倒れた男を後ろからその老婆は腕を組みながら見下ろしていた。
その額には大量のミミズが浮かんでおり明らかに不機嫌だと言うのが伺える。
「よ、よぉ……ババァじゃねぇか。今日は良い天気だなぁ……布団でも干そうってのかぁ?」
「下らない挨拶は良いんだよ。それよりも銀時……あんた今月の支払いはどうしたんだい?」
正しく嫌な内容だった。出来れば忘れて欲しかった内容だ。
されど、ばれてしまったのではもう隠しようがない。こうなれば当たって砕けろだ
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