千李の決意
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てしまいそうなほどに。
そして瑠奈は小さくだがしっかりとした声音で言った。
「……うん!わたしはそれでいい。センリおねえちゃんがお母さんになってくれるならわたしはすっごく嬉しいよ!」
言い終えると瑠奈の瞳からは大粒の涙が零れ落ちた。
それは眼帯をしている右眼もそうだった。
千李はおもむろに立ち上がると瑠奈の隣まで行き瑠奈を抱き寄せた。
言葉はなかった。
だが今の瑠奈にはこれで十分だったのだろう。
抱き寄せられた瞬間千李の胸に顔をうずめ瑠奈は泣きじゃくった。
それはもう体中の水分がなくなるのではないかというほどに泣いて泣いて泣きまくった。
千李はそれを静かに抱きしめ頭を撫でるだけだった。
そして瑠奈の泣き声はそのうち「お母さん」という言葉をはらんだ物に変わった。
呼応するように千李はその言葉に答え続けた。
二人の姿はまるで本物の母娘のようだった。
瑠奈が泣き止んだのは30分後だった。
千李の胸元は瑠奈の涙と鼻水でぐちゃぐちゃだったが千李はそれを気にした様子もなかった。
そして瑠奈はずっと千李の腕にしがみついている。
瑠奈の顔は泣き続けたおかげで軽く腫れてしまっているが、その顔はとても嬉しそうだった。
それだけ千李が母親になったことが嬉しいのだろう。
「ねぇセンリおねえちゃ……じゃなかった。お母さん」
「ん?なに瑠奈?」
「わたしたちどこに行ってるの?」
そう千李と瑠奈、そして三大を含めた三人はある場所へ向かっていた。
そこは。
「お墓よ。瑠奈の本当のお母さんとお父さんの」
「……お墓」
千李は決めていたのだ。
もし瑠奈が自分を母として認めてくれたときには瑠奈の両親のお墓に行って挨拶をして来ようと。
すると三大が止まった。
「ほら。着いたぞい」
「うん。ほら瑠奈横に来て」
「うん」
お墓に到着し千李と瑠奈は互いに手を合わせ頭を下げた。
千李は頭を上げ告げた。
「瑠奈のお父さんとお母さん。瑠奈はこれから私の娘として育てさせて頂きます。ですが安心してください。きっと立派な娘にして見せます」
千李が言うとそれに続くように瑠奈が言った。
「お父さん。私は大丈夫だよ。センリお母さんもとっても優しいし面白い人だから。それからお母さん。お母さんのことは全然分からないけど心配しないでちゃんとセンリお母さんのいうこときくしどんなことだってがんばるよ」
そういうと瑠奈は千李の腕にしがみついた。
千李は瑠奈の頭を軽く撫でる。
「ご心配も残るかもしれませんが。瑠奈のこと私に任せてください。そして
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