第二話、アリシア・テスタロッサ
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らく、先程のツンデレが尾を引いているのだろう。
「じゃあ、早速行きましょうか」
座っていた椅子から立ち上がり軽く伸びをして、プレシアはリニスを伴って研究室を出た。プレシアが作業をしていた端末は開かれたままで、そこには、『ラウル・フェルナンデス』と題名づけられた情報が記されていた。
「ここに来る以前の記憶がない?」
「……ああ…」
少年が話したことを、プレシアは問い返していた。
少年の名前はラウル・フェルナンデス。プレシアが目をつけていた『聖王』の末裔には間違いない。年齢は8歳。プレシアが手にいれた情報と、ほぼマッチしていた。
「名前は分かる。年齢、生年月日も分かる。それに家族構成も覚えているというのに」
「……なぜ俺が、ここにいるのか。そしてそれ以前に何があったのか…それだけが、思い出せないんだ」
少し申し訳なさそうに言うラウルに、プレシアは眉根を寄せて考え始めた。
そんな中でリニスはベッドに座るラウルに目線を合わせるようにしゃがみこんだ。
「ラウルさん。少し辛い話しをするけどいいですか?」
「辛い、話し?」
《ちょっと、リニス?》
《話すしかないでしょう?記憶が戻れば、いずれ気づいてしまうことです》
リニスがこれからラウルへ話そうとしていることは、彼にとってとても辛いこと。精神的ダメージを負ってしまうことも十分に考えられる。
それではプレシアの望みが叶えられない。だから彼女は止めようとしたのだが、いずれ気づいてしまうのは確かにそうだ。だからプレシアはおとなしく引き下がった。
「あなたの家族は全員、あなたを除いて死んでしまいました」
「…っ!」
リニスがそう言うと、ラウルは軽く驚きに目を見張った。
だが、それだけだった。
「あ、あれ?驚かないの?」
自分の予想していた光景とは違ったのか、フェイトは戸惑いを隠せなかった。
そんな彼女にラウルは苦笑いを浮かべて、
「俺だけがここにいたって分かったときから、それは覚悟してたことだからさ。大丈夫だ」
言葉とは裏腹に、とても悲しそうな表情でそう言った。
「無理、しなくてもいいんですよ?」
「あ、はは…本当に大丈夫だから」
こちらを気遣うリニスにラウルは薄く微笑んだ。その笑みは、先程フェイトに見せた儚げな、どこか達観したようなもので、まるで全てを見透かしたような不気味なものに、リニスの背筋に冷たいものが走った。
「家族のことは大丈夫だ。それよりも、俺は見ず知らずのガキである俺のことを助けてくれたアンタらに礼を言いたい……ありがとう」
辛くないわけがない話しを大丈夫と切って、ラウルは頭を下げた。
「それで…アンタらは、俺
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