第120話 洛陽でのある一日
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膝元である洛陽に諸候の軍が勅なしに雪崩れ込んだ事実だけで皇帝の権威は地に落ちます。後は権威の失墜した皇帝陛下を御輿として担ぎ、折を見て皇帝陛下に禅譲を迫りご退位願います。劉氏であり、前漢の皇族であり、斉王の末裔であられる正宗ならば禅譲を円滑に行なうことができます。そのために十三州を平定し正宗様に天意ありと示す必要がございます」
皇帝殺しより禅譲が現実的だと思います。
私も協を手にかける気持ちは更々ありませんし禅譲しかないでしょう。
禅譲は伝説の中でのみ語られている政権移譲の方法です。
現実の禅譲は禅譲とは名ばかりの簒奪による政権移譲です。
理想は所詮理想ということです。
私が協に禅譲を迫る時も形式はどうあれ簒奪の形になると思います。
私は惨いことをしようとしているのかもしれません。
ですが、腐敗しきった後漢を再建することはどう考えても無理です。
やるしかありません。
「正宗様、焦る必要はありませんが覚悟はなさっていてください。協皇子を害すつもりはありませんが、状況が許さない場合あります」
揚羽は私を厳しい表情で見つめていました。
「正宗様の想いは承知しました。協皇子をお護りしたいのであれば、反董卓連合時には誰よりも早く我らが協皇子を確保せねばなりません」
「反董卓連合は起こるのであろうか?」
「起こらないのであれば無理矢理にでも起こしてみせます。どのみち何進様が倒れ、宦官が皆殺しにされれば、都の政は立ち行かなくなります。誰かが都を仕切らねばならず、誰かは皇帝陛下がお選びになりましょう」
「私が選ばれる可能性はあるのか?」
「正宗様は協皇子があなた様をお選びになると思われるのですか?」
「多分、ない」
協との会話では確かに私を側近として置きたい気持ちがあったと感じられましたが、私との会話の中で協は私を側近しないと決めた感じがしました。
だから、協は私に「今日のように、また語らう日が来るだろうか?」と聞いたのだと思います。
あれが彼女の私への返事だと思います。
私は協との約束を守るためにもう一度再開する必要があります。
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