第120話 洛陽でのある一日
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く斬った者は血を幾ら洗い流そうと雰囲気でわかる」
「含蓄のある回答ですね」
「揚羽殿のお考え正宗様の言葉で合点がいきました。劉虞は異民族への処置への考え方は正宗様と同じということですね」
「ええ。それに劉虞は正宗様の幽州への介入を嫌い、異民族の問題で悪戯に領内の政情不安に繋がることはしないでしょう。劉虞が暗愚であれば公孫賛にも目があったでしょうが、生憎と劉虞は中央で海千山千の妖怪の中で地位を護ったきた人間です。公孫賛では劉虞を転がすことは適いますまい」
劉虞は皇帝の座を狙える程の血筋でありながら皇帝の位に目を向けていません。
皇帝の座を狙えば血なまぐさい政争に明け暮れる羽目になります。
劉虞は血筋が名門中の名門であることもあり、危険な政争に身を投じずとも野心を強く表に出さない限り安定した地位を維持できると思います。
また、特定の勢力と緊密になることなく、どの勢力とも一定の距離を保っていたことも彼女の地位維持に繋がったのだと思います。
その手腕から見て沈着冷静かつ知恵の回る人物だと思います。
政治におけるバランス感覚が抜群の劉虞が異民族の積極的な討伐に積極的に行なうとは思えません。
異民族の討伐は相手を簡単に皆殺しに出来るものでは有りません。
異民族の戦闘は機動力を重視した戦法です。
彼らは旗色が悪くなれば蜘蛛の子を散らすように逃げて行き、機会を見てまた襲撃してきます。
異民族との対立は必ず領内の荒廃を招きます。
農民に兵と食料を差し出させ異民族を討伐した結果、その村々を復讐に燃える異民族が襲撃します。
多くの民が飢え、多くの民が死ねば土地は荒れ賊が蔓延ることになります。
最終的には治安が最悪の状態になり民は流民として他州に逃げていくことになります。
現状、私の幽州介入により彼の地は政情は安定しています。
劉虞がわざわざかき回して被害を大きくする愚策を選択するとは思えません。
「確かに劉虞なら公孫賛の抑えにはなるな。公孫度にも公孫賛の抑えとして頑張ってもらおう。当面は幽州から距離を置くとしよう。冥琳、青州への工作はどうなんだ?」
「三姉妹のお陰で重畳です。青州の黄巾賊のうち三割が正宗様に恭順の意思を示しております。兵数して一万五千」
「黄巾賊の要求は何だ?」
「生活のために田畑を与えて欲しいとのことです。また、生活が安定するまで農機具や食料の支援をして欲しいとのことです」
「いいだろう。とりあえず冀州へ移民するように伝えてくれ。それと彼らの冀州までの道中に必要な糧食も工面するように」
「はい、そのように取りはからいます」
今日やる仕事にだいたい目処が経つと、ふと協のことを思い出しました。
協と会って帰宅してから現在まで揚羽は協の件を何も聞いてきま
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