第120話 洛陽でのある一日
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で揚羽に読んだ文を手渡しました。
「公孫度が蘇僕延を討ち取ったそうだ。それと白蓮が私が融通した文官を受けれ拒否してきたらしい」
私の言葉に反応することなく揚羽は文を読み進めていました。
冥琳も動じていません。
彼女達の中では白蓮の態度は折り込み済みのようです。
私ですら予想していたのですから、彼女達が予想できないはずがないです。
揚羽は文を読み終わると冥琳にそれを渡し、冥琳は受け取った文に目を通し始めました。
「公孫度の遼東郡大守任官は約束したことだ。都を立つ前に奏上しておく。白蓮の元に送る予定だった文官は私の配下にすることにする。これから文官は幾らいても足りなくなるだろうからな」
私は冥琳が文を読み終わるのを待ち口を開きました。
「はい、異論ございません」
「私もありません。文武官の数はもっと増やすべきと思っていました」
揚羽と冥琳は口を揃えて返事をしました。
「しかし、白蓮殿は鈴を付けて置くべきかと思います」
「白蓮を信用できないか?」
「白蓮殿が正宗様の申し出を拒否した理由は烏桓族の仕置の甘さに不満があるからです。心に痼りのある者が一人の庶民であれば気にすることはないでしょうが、一郡の大守となれば話は変わります。正宗様に対する痼りを他の諸候に利用され、正宗様に弓を引く可能性がある以上、用心にこしたことはありません」
冥琳は懸念を示す表情で私に言いました。
「公孫賛の鈴役は劉虞にお任せすればよろしいでしょう」
「劉虞ですか。都暮らしの長い彼の御方が白、いえ公孫賛の抑えになるでしょうか?」
「劉虞は優秀な政治家です。前線で戦う武官の怒りを逆撫するほどに」
揚羽は白蓮のことを公孫賛と呼び捨てにし冥琳の発言に対する案を出しました。
揚羽の中では白蓮は既に敵ということでしょう。
敵と確定したわけでないですが、このまま突き進めば衝突することは目に見えています。
劉虞が幽州牧として幽州入りとなれば火に油を注ぎ込む結果になると思います。
私が白蓮と距離を置くことで事態の悪化は一時的にですが収まっていますが劉虞が幽州牧として動けば、その状態も崩壊するでしょう。
「正宗様は劉虞と面識がおありですか?」
冥琳が私に質問をしてきました。
「ああ、ある。立ち話をした程度だがな」
「どのような人物だったのですか」
「温和で血生臭いこととは縁遠い人物と感じた。あの様子では人を斬ったこともないだろう。私の見立ては猫を被っていなければの話だが、多分間違っていないだろう」
「ほう。正宗様、その根拠をお聞かせくださいますか?」
揚羽と冥琳が興味深そうに尋ねてきました。
「血の臭いがしなかった。人を多
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