第四十二話 決戦(その一)
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出る切っ掛けが得られない様だ。拙いな、このままでは帝国軍の思う壺だ、時間だけが過ぎてゆく。何とかしなければ……。
帝国暦 490年 4月 30日 ガンダルヴァ星系 サラマンドル アウグスト・ザムエル・ワーレン
「どうやら戦況は膠着状態になったと見て宜しいのでは無いでしょうか。今のところは願っても無い状況ですが……」
「そうだな、だが油断は禁物だ。向こうは後が無い、必ず何かしかけてくるはずだ」
「はっ」
参謀長のライブルの言う通り、今のところは思い通りの戦況だ。最初の一時間、あれが大きかったな。上手く反乱軍の出鼻を挫くことが出来た。だがまだ会戦が始まって五時間程度しか経っていない。最低でも我々だけで十日は戦うのだ、先は未だ長い、油断は出来ない……。
反乱軍の通信を傍受してようやく反乱軍の布陣が判明した。向こうは右翼から第十四艦隊、第十三艦隊、第一艦隊、第十五艦隊、第十六艦隊の順で並んでいるらしい。第一艦隊、第十六艦隊のパエッタ、ホーウッドは以前から艦隊司令官だったが第十四艦隊、第十五艦隊のモートン、カールセンは今回新たに艦隊司令官に任じられた男だ。
今の所俺が戦うのはホーウッドだけだがカールセンとも戦う可能性は有る。頭領の話ではカールセンはビッテンフェルトのような猛将タイプらしい。味方ならば頼もしい奴だが敵だと思うと厄介な奴だ。どうして俺はこの手の面倒な奴と縁が有るのか……。ロイエンタールの顔を思い出した。
さらに三時間程経った時、ライブルが声を上げた。
「閣下、反乱軍が少しずつ陣を右へと動かしております」
「そうだな」
艦橋がざわめいた。反乱軍は少しずつ陣を右へと動かしている。やはり動かしてきた。艦隊数が一個多い事を活かそうと言うのだろう。
これまで頭領の艦隊をヤン・ウェンリーとパエッタが攻めていたがヤン・ウェンリーだけにしようとしている。当然だがパエッタはルッツ提督に正対するだろう。つまり俺の所にカールセン、ホーウッドの二個艦隊が来るわけだ。どうするつもりだ? 二個艦隊で押し潰すつもりか? それともホーウッドは後背に出る事を狙うのか? そして頭領はどうする? 参謀達が不安そうな表情をしている。ブリュンヒルトに居るのがローエングラム公ならこんな表情はしないだろう。
「総旗艦、ブリュンヒルトから命令です!」
オペレータが声を上げた。さてどうする?
「直ちに同盟軍第一艦隊に攻撃を集中せよとのことです」
「分かった。直ちに第一艦隊を攻撃せよ! 急げ!」
なるほど、陣を横に伸ばしている以上連携は弱くなる。第一艦隊を叩いて反乱軍を中央から分断する、或いはそう見せかけて反乱軍の動きを止めるという事か。第一艦隊が混乱すれば、俺とルッツ提督でカールセン、ホーウッドを抑える、い
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