第四十二話 決戦(その一)
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タとヤンはどう見ても上手く行っていない。
元々パエッタは第二艦隊でヤンの上司だった。この当時も上手く行っていなかったがその後も上手く行っている形跡がない。原作ではランテマリオ会戦以降、モートンとカールセンは残存部隊を率いてヤンに合流している。しかしパエッタはそれをしていない。
率いていた艦隊が全滅したとは思えない。第一艦隊は正規艦隊で兵力もモートンやカールセンより五割増しだったのだ。いくらなんでも全滅は無いだろう。となると考えられるのはヤンの指揮下に入るのを嫌がったからとしか思えない。或いは勝てないと見て諦めたか……。
上手く行かなかった元部下の下に行きたくないと言う気持ちは分からないでもない。おまけにイゼルローン要塞攻略後、第二艦隊は第十三艦隊に編入されている。パエッタは艦隊を取り上げられ行き場を失ったのだ、屈辱だっただろう。彼が第一艦隊の司令官になったのはあの馬鹿げた帝国領侵攻作戦の御蔭だ。僥倖と言って良い。
アムリッツアの会戦後、同盟軍の多くの提督が戦死するか捕虜になった。そして第一艦隊司令官クブルスリーが統合作戦本部長になった。同盟軍は極端な人材不足に陥ったのだ。そうでなければパエッタの艦隊司令官への復帰は難しかったはずだ。二倍の兵力を持ちながら敗れた指揮官、しかも部下が適切な案を出しながらそれを無視した指揮官。積極的に選ばれたのではあるまい、仕方ないと言った感じだろう。
ケンプによるイゼルローン要塞攻略戦の時、第一艦隊をヤンに指揮させて増援にという意見が有った。しかし実現しなかった。果たしてそこにパエッタの意思が無かったかどうか……。パエッタがバーミリオン会戦に参加していれば或いはヤンが勝利を収めたかもしれない。人間関係が歴史を変える事は間々あるのだ。
俺なら第一艦隊にはアッテンボローを持ってくるけどな。そうなればかなり手強い。だがそこまではクブルスリーもビュコックも踏み込めなかったようだ。
「反乱軍、イエローゾーンを突破しつつあります」
オペレータが震える声で報告してきた。いかんな、埒もない事を考えていた。或いは逃避していたのか……。
メルカッツに視線を向けた。微かに頷いて来る。俺も頷き返した。
「最初の一時間、気を付けましょう」
「はっ」
最初の一時間、同盟軍が暴走する可能性が有る。注意が必要だ。ルッツ、ワーレン、ミュラーにも注意はしておいた。頼むぞ、上手くやってくれよ、上手く行けば同盟軍の出鼻を挫ける……。
右手をあげた。この手が振り下ろされれば戦闘が始まる。後ろにいる誰かが喉を鳴らす音が聞こえた、誰だか知らないが落ち着けよ。手を振り下ろすのが怖くなるじゃないか。
「反乱軍、完全に射程距離に入りました!」
「撃て(ファイエル)!」
俺の命令とともに数十万というエネルギー波が同
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