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銀河英雄伝説〜その海賊は銀河を駆け抜ける
第四十二話  決戦(その一)
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、深呼吸でもして落ち着く事です」
そう言うと頭領は席を戻してスクリーンに視線を向けた。メルカッツ参謀長が僕達を優しそうな目で見ている。

凄いや、頭領は僕らを落ち着かせようとしてくれたんだ。そして参謀長もそれに協力していた……。皆敵わないって顔をしているよ。エンメルマン大佐なんて溜息を吐いてる、僕も溜息が出た、本当に二人とも凄い。メルカッツ参謀長は名将だって聞いてたけどそれを実感した。

大丈夫、僕達は勝てるさ、絶対に負ける事なんて有り得ない。だから僕は僕の出来る事をしよう。グラスが空になっている人が居る、水の用意をしなくっちゃ……。



帝国暦 490年  4月 29日   ガンダルヴァ星系   ブリュンヒルト   エーリッヒ・ヴァレンシュタイン



「反乱軍との距離、百二十光秒」
百二十光秒か……、同盟軍はだんだん近づいて来るな。まあ、当たり前か……。艦内に流れたオペレータの声は何処か上擦っていた。頼むからもう少し落ち着いてくれ、周りを不安にさせてどうするんだ?

おそらく今の声を聞いた兵士達は緊張で掌に汗をかいているだろう。掌を軍服に擦り付け汗を拭っている奴もいるはずだ。多分ズボンだな、太腿のあたりは汗でテカテカか。しかしもう直ぐ戦闘が始まる、そうなれば汗を気にする余裕も無くなるだろう……。戦闘が始まったら広域通信をする必要が有るな、補給基地を制圧に行った連中に状況を知らせないと……。

彼方此方で兵士達が顔を寄せ合って会話を交わしている。おそらく自分の緊張を少しでも緩めようというのだろう。意識しての事じゃない、多分無意識に行っている。戦い前はいつもこんな感じなんだろうな。視線を流して幕僚達を見た。

ゾンバルト、エンメルマン、クリンスマン、ヘルフリッヒ……。少しは落ち着いたか、さっきは酷かったからな、緊張でカチカチだった。視界の片隅にコンラート・フォン・モーデルが見えたが直ぐに視線を戦術コンピュータのモニターに戻した。困った奴だ、勝手に付いてきて……。もっとも気にしているのも今だけだろう、戦闘が始まれば気にする余裕は無くなるに違いない。

ここまでは予想通りだ。こちらは左翼からミュラー、俺、ルッツ、ワーレンの布陣だ。同盟軍は右翼から新設の一個艦隊、ヤン艦隊、第一艦隊、そして新設の二個艦隊。新設の三個艦隊は十四がモートン、十五がカールセン、十六がホーウッドの筈だが現状ではどれがどれだか判別出来ずにいる。そしてその後方に二千隻程の艦隊が有る、おそらくはビュコックだろう。予備戦力を兼ねていると言ったところか……。

やはり同盟軍は主力のヤン艦隊と第一艦隊を俺にぶつけてくるつもりの様だ。多分連携して俺を潰そうと言うのだろう。しかしはたしてどうかな? 上手く行くかな? 第一艦隊の司令官はパエッタだがパエッ
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