第二章 メルセニク編
滅び行く都市よ
出会いと戦いに戦い
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付かれる。
「九」
そのまま巻き付いた鋼糸を伝って衝剄を流されるが、単純な衝剄ならシキのほうが強い。同じく衝剄を放ち相殺するが、隙をつかれ槍がシキの手元から吹き飛ばされ、空中の鋼糸に渦に巻き付かれる。
「八」
武器がなくなったシキは手に剄を回し、向かってくる鋼糸に拳を向ける。
シキの剄脈が唸る。全身に纏った剄が半ば物質化しながら鋼糸を迎撃する。
これにはリンテンスも目を見開き、七から四までのカウントを忘れる。
「らぁっ!!」
そのままシキは向かってきた鋼糸を両手で掴む。剄脈の鼓動が止まらない、剄が噴き出し、周囲を破壊し始める。
掴んだ鋼糸が手のひらの中で暴れ、ずたずたに引き裂くが構わずシキは鋼糸を引っ張る。
予想以上の力だったのだろう。リンテンスが宙に浮き、シキに向かって引っ張られた。
一瞬だけ驚愕の表情をするが、いつもの無愛想な表情に戻る。
「三」
左太ももと横腹を鋼糸が貫こうとするが、物質化した剄がアーマーのように硬質化し、鋼糸を弾き飛ばす。
外力系衝剄の変化、刃鎧。
防御力だけならオリジナルを凌駕するそれは。弾き飛ばした鋼糸に反応すると切り刻む。
「ニ」
シキは左手で掴んでいた鋼糸を離す。リンテンスの距離は一メル程度。
シキが選択したのはただの剄を纏った拳、パンチだ。しかしその拳に篭められた剄力をまともに受け切れないと判断したリンテンスはカウントを止め、仕込みを発動させる。
瞬時に周りに展開されていた鋼糸がシキを繭状に包み込み、鼻先まで迫ったシキの拳を遮る。しかしリンテンスの指に今まで感じたことがない衝撃が走り、指の間から血が吹き出す。
何時ぶりだろうかと、リンテンスは思う。ここまで自分が追い込まれたのは。そんな一瞬の思案の後、リンテンスは剄技を発動させる。
「那由多の彼方へ送ってやろう。」
繰弦曲・崩落。
真っ白な光が周囲を包み込む。
繭の中へ向かって衝剄打ち出し、大衝撃が内部で起こる。今まで汚染獣にすら使わなかった大技だ。
五秒、今のリンテンスがこの技を使える限界時間だ。本来なら十秒持つが錬金鋼が持たないのだ。鋼糸が目に見えるほど赤く染まっている。
リンテンスが鋼糸を破棄すると同時に激しい爆発を起こす。
爆風が一瞬だけリンテンスの視界を遮った。それが勝負の分け目だった。
「ほう」
「うぉおおおおおおおお!!」
爆風を引き裂いて、シキがリンテンス目掛けて突撃してきたのだ。
全身血まみれ、左腕に至っては千切れてるがそれでもシキの目には闘志が失われていなかった。
「殺す気かぁああああああああああ!!」
次の瞬間、シキの右ストレートがリンテンスの左頬を捉え吹き飛ばした。
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