第二章 メルセニク編
滅び行く都市よ
出会いと戦いに戦い
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鋼で復元された鋼鉄の糸、鋼糸だ。
既にシキは糸に絡め取られた獲物だ。多少あがけても結局は糸に絡み取られて喰われるその時を待つ獲物でしか無い。
既によけきれなかった鋼糸のせいで体中に切り傷が出来ている。だがシキは止まらない、止まったら死ぬからだ。刀を振り、被弾を最小限にする。
「――――見込み以上、と言うべきか?」
不意にシキの耳にそんな言葉と煙草の匂いが香ってくる。
シキは悪寒がし、刀を構えるが弾き飛ばされる。空を舞う刀を見ることもなくシキは向かってくる剄技を避けるために剄を込める。
繰弦曲・魔弾。
三百六十度、全方位からの刺突攻撃がシキに襲いかかる。
しかしシキも剄を篭め終わり、剄技を発動していた。
「おぉおおおおおおっ!!」
外力系衝剄の変化、咆剄殺。
ルッケンスの奥義、震動波が一瞬だけ鋼糸の動きと止める。すかさずシキはほんの一瞬の穴に向かって復元途中の槍で剄技を放つ。
外力系衝剄の化錬変化、 餓蛇炎駆。
化錬変化させた剄弾を打ち込み、そのままその拡散した剄弾とともに大回転し周囲一体を焼き払う技だ。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ」
シキは伝う汗を拭わずに出来た安全地帯に着地すると荒く息を吐く。
死ぬ気でやってこれだ。さらに言えば敵が手心を加えてくれなかったら焔切りしている途中で死んでいた。
「ここまで切り抜けた奴はお前が初めてだ」
「鋼糸との訓練は積んでるんで」
だがここまで容赦のない攻撃は初めてだ、という前書きは付くが。
いつも通り、薄汚れたコートのポケットに片手を突っ込み、煙草を吸う師匠の姿がそこにあった。
「まだいけるか?」
リンテンスの声は平坦だ。平常時でも、戦闘時でもそれが一番怖いとシキは思う。
全神経をリンテンスの指と剄の動き、周囲に回す。一秒でも気を抜けば切り裂かれる。リンテンスとはそういう男だ。
しかしまともにやりあっても勝てるわけがないのも事実だ。リンテンスとシキの技量の差は天と地ほどの差がある。剄量で勝っているなど気休めでしか無い。今の若いリンテンスなら少しは満身があるなどと甘いことを考えたことを、シキは自分自身を殴りたかった。
武芸者としてもうリンテンスはこの時点で完成されている。
シキはいつの間にか震え始めた手を必死で安定させる。
恐怖?
「怖いか?」
死にたくない?
「逃げるか?」
違う。
「十秒待つ。すべてをかけてこい」
「……やっぱ、師匠ってすげえや」
――――あぁ、愉しい。
そう思う、今のシキの顔はサヴァリスそっくりだった。
「十」
槍で突撃するが、まとわせた衝剄すら中和させられて槍に鋼糸巻き
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