第二章 メルセニク編
滅び行く都市よ
出会いと戦いに戦い
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じゃないよ」
「そりゃどーも」
男も釣られて笑う。殺し合いをしているには不釣り合いな笑い声が辺りに響く。
そして暫く笑うとシキは刀を構える。しかし、どっしりと地面に両足を踏みしめる。
「なんの真似だ?」
「受け止める、打ってこいよ」
男の殺意に怒気が含まれる。
予想通りだったがここまで引っかかるのは珍しい。
目の前の男は細かな技術なんて物は持っていない、技量はそこまでではないだろう。だが相手を壊す、その一点ではシキよりも上だ。
先ほどの一撃もただの振り下ろしに見えたが振り下ろすタイミング、強さ、角度、すべてが完璧だった。
「本気か?」
「あぁ、長引くと面倒くさいのが来る」
リンテンスのこともそうだったが、この都市の都市警もやって来るはずだ。
「いいだろう……テメエをここで食いちぎる」
男の体から剄が溢れる。まるで自身すら壊しかねないほどの剄を、身体に、錬金鋼に、シキにぶつける。
シキは静かに構える。
そして男が一陣の風となりシキに襲いかかる。
シキの感覚が一気に遅くなる。目の前には凄まじい形相をした男と今にもシキを砕こうとする愚者の一撃。
ゆっくりとシキの頭に近づく鉄鞭が、その用途通りシキを砕く、その瞬間男は鉄鞭ごと吹き飛ばされた。
「なっ――――!?」
活剄衝剄混合変化、金剛剄。
確実に当たると思っていたのだろう、驚愕の表情のまま男は無残に大地に転がるが、なんとか体勢をたて直すが遅かった。
「ッ!?」
「恨むなよ」
サイハーデン刀争術、水鏡渡り。
一個の砲弾のように突っ込んだシキは男の目の前にいた。
男は鉄鞭を構えて防御しようとするが間に合うはずがない。
サイハーデン刀争術、焔切り。
紅蓮に燃え上がった刀身が男の横腹から捉え、そのまま肩口まで切り上げる……はずだった。
「ッ!!」
「うおぉっ!?」
ほとんど勘だった。シキは焔切りを途中で止めて、男を蹴り飛ばす。
幾つかの骨が砕ける音と男の声にならない叫びが響くが、シキは焔切りをするために刀身に溜めた衝剄を辺りに撒き散らす。
サイハーデン刀争術、焔重ね・紅布。
炎の瀑布が向かってきたソレをすべて迎撃し、爆発した。その衝撃でシキは交代しながら走り続ける。
あんなのその場しのぎであることはシキはわかっている。距離を取るのは下策中の下策だが肋骨を抑えて、地面に転がっているあの男を巻き込むわけにはいかないだろう。決して助けたわけじゃない、目の前で人間がサイコロステーキになるのを見たくなかっただけだ。
「くそっ!!」
縦横無尽に向かってくるソレを常人の目、いや武芸者ですら捉えるのは難しいだろう。
糸だ。それもただの糸ではない、錬金
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