第二章 メルセニク編
滅び行く都市よ
出会いと戦いに戦い
[4/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
レンダンでは考えるよりも行動したほうが速かった。
漠然的に、孤児院を出て武芸者として生活するということしか考えてなかった。
レイフォンは天剣授受者、リーリンは大学を出て先生にでもなればいい。しかしシキ自体は何も考えてない。
「外に出る?」
ふとデルクが昔、話してくれたことを思い出した。
兄弟子がグレンダンを出た、という話だ。そんな一言二言の他愛もない話をしきはなぜか鮮明に思い出していた。
そして今日会ったジャニスとメルセニクの都庁だ。
他の都市にもあぁいうのがあるのか、と思うと何故かワクワクするのだ。
ジャニスがここにいたのなら、シキに向かってこう言うだろう。
――――それがロマンよ。
しかし、シキはゆっくり歩いていた足を止める。
「……出てこいよ」
そのまま剣帯に手が伸びる。複数持っている錬金鋼のほとんどは部屋に置いてある。
持ち出しているのは刀と槍と鋼糸とだけだ。
不安はある、だが刀があるだけマシだと気持ちを切り替える。
食堂で感じた殺気だ。それが今、背後から感じた。ピリピリとした殺意がシキの肌を当ててくる。
「やっぱ気付くか」
若い男の声だった……どこかで聞いたことがあった気がするがシキは余計な思考を排除して声の方向に向き直る。
そこに立っていたのはやはり若い男だった。
既に錬金鋼は復元していた。金棒のような大きい鉄鞭だ。
強い、まだ剄も発していないがシキは目の前の男が一筋縄ではいかない相手だと直感した。鉄鞭なんて武器を使うのは二つに分かれる。
徹底的に防御に徹する者とその質量で相手をすり潰すことを考える者だ。
後者なんだろうな、とシキは思う。男の目は獲物を探す肉食獣のそれだ。
「よう、お嬢ちゃん」
「悪いが俺は男だ、こんな見た目だがな」
「はっ、見た目詐欺だな。もう少し可愛くすりゃ幾らでも稼げそうだぜ?」
軽口の押収、だが濃密な殺意がシキを貫く。
「一応聞くけど俺なんかした?」
「いいや、何も?」
次の瞬間、男の姿がかき消えた。
シキは体を逸らすと今まで立っていた場所に鉄鞭が振り下ろされる。
地面が砕けひび割れる。一瞬でも遅かったらシキは無残な死体となって大地を汚していただろう。
「レストレーション01」
鈍い光が光り、シキの手に馴染みの重さが復元される。
五ヶ月間、エルミによって調整に次ぐ調整を受けたシキだけの錬金鋼だ。淀みなく今のシキの剄を受け止めてくれる。
そのまま後ろに飛び、男との距離を離す。
今のでわかったがこの男は余計な小細工をしない。愚直に、真っ直ぐに、一直線に相手を潰すために向かってくる。馬鹿みたいに愚直な一撃……だがシキは笑った。
「あんた、嫌い
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ