『東方晟成』 A
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「……あ、あの〜……一つ、聞いていいスか?」
「……どうぞ……」
晟成は勇気をふりしぼって男に質問した。
「………どっかで…お会いしましたっけ…?」
「………………」
沈黙が続く。心臓がバクバクいっているのを晟成は感じた。気持ち悪い汗が背中をつたう。暫くして、男はかたく閉ざしていた口を開いた。
「………………初対面だ……」
「………で、ですよね〜〜〜ッ!!」
男の返答に晟成は胸を撫で下ろす。
「いや〜〜〜ッ! マジで緊張したっスよ〜〜ッ! ほら、もしどっかで会ったことある人なら、今の質問スッゲェ〜失礼じゃないスか〜ッ! いや〜〜〜良かったッ!」
緊張の糸が切れたせいか、晟成は饒舌に気持ちをぶちまけた。晟成の言葉を男は静かに聞いていた。
「ははは……あれ? ちょっと待ってください……」
ふと、『ある疑問』が晟成の頭の中によぎる。
「……じゃあ……『アンタ等誰っスか』?」
当然の疑問だった。面識もない人間が夜間にいきなり訪ねてきたのだ。普通なら家に上がらせることすらしないのだが……
東方晟成のもって生まれた性格が、「外で立ちっぱなしっつうのも、可哀想だしな」という考えにいたったのだ。
「………確かに、我々と君に接点はない……だが、我々は『君を探し続けていた』……」
「俺を、探してた?」
「遅くなったが、自己紹介をしよう。私は『SPW財団』で研究をおこなっている『科学者』だ……」
「『SPW財団』……? あの?」
『SPW財団』……20世紀初期に設立された財団で、『医療の発展』と『自然動植物の保護』を目的とした人々の生活と福利厚生のために動く団体のことである。一財団であるのも関わらず、その影響力は世界経済を動かすほどのものである。
「……いや、アンタ等がそのSPW財団の人間っつうのは分かりました。でも……いったいそんなお偉いさんが俺に何のようっスか?」
「単刀直入に言おう、東方晟成君………」
差し出されたお茶をぐいっと飲み干し、男は晟成に告げた。
「君には…………『学園都市』に転入してもらいたい。」
「………………はぁあああああああああああああああああッ!?」
魂が月までブッ飛ぶほどの衝撃告白が、晟成に告げられた。
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