第二幕その十六
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
第二幕その十六
「ただ服を選んだだけじゃないか」
「そうだよな」
「そう、その服を選んだことが重要なんだよ」
だがアルフォンソは二人にもこう言うのだった。
「それがな。大事なんだよ」
「やっぱりわからないな」
「そうだよな」
二人は相変わらず首を捻り合う。
「どういうことなんだ?」
「意味がわからないが」
「相性だよ」
アルフォンソはまた言った。
「まあそれもおいおいわかるかも知れないよ」
「何が何だか」
「けれど明日の朝までだから」
とりあえず従うことにしたのだった。そしてその間にフィオルディリージは。
「髪飾りを取ってそのうえであの帽子を被って」
もう出ようと考えていた。
「それであの人のところに」
「ではフェランド君」
「うん」
フェランドはアルフォンソの言葉に頷きそのうえでそっとフィオルディリージのところに向かった。その間フィオルディリージは真剣な面持ちで言っていた。
「私はもうすぐあの人の腕に抱かれるのだわ。あの軍服を着ていたら私が誰なのかわからないでしょうけれど」
こう言うのである。
「けれど私だとわかった時にあの人はどれだけ喜んでくれるかしら」
「ですが私は」
ここフェランドが彼女の前に出た。
「悲しみのあまり死んでしまいます」
「また貴方なのですか?」
「そうです」
思い詰めたふりをしてフィオルディリージに告げる。
「私です」
「帰って下さい」
すぐにきっとした声で彼に言い返した。
「もうすぐに」
「いえ、それ位なら」
しかしフェランドも引かない。
「私の胸を一思いに剣で」
「そんなこと仰らないで下さい」
こう言われると困り果てた顔になるフィオルディリージだった。
「私はもう」
「ですから私は」
ここでさらにフィオルディリージの側に来たのだった。彼女も何時の間にか立っていてそのうえで彼と対するのだった。
「この眼、この声が」
「声が」
「そうです。そして心が」
フェランドはじっと彼女の目を覗いて言うのだった。
「欲しいのです」
「私はそれは」
「御願いです」
よろめく彼女をさらに攻める。
「どうか私の想いを」
「ですからそれは」
「受け止めて頂けないのなら私は」
「そんなこと仰らないで下さい」
フィオルディリージも遂に言ってしまった。
「そんなことは」
「では宜しいですね」
「・・・・・・はい」
そして遂にこくり、と頷いてしまうのだった。
「もう私は貴方のものに」
「ではこちらへ」
「はい」
部屋の右手に向かう。そこから庭に向かうのだった。
「甘い愛の悩みも」
「喜びの溜息も」
二人の言葉が合わさる。
「全ての苦しみを救う慰めとなります」
「ですから二人で」
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ