第二幕その十五
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第二幕その十五
「デスピーナ、ちょっと来て」
「はい、何でしょうか」
鈴が鳴るとすぐに戻って来たのだった。
「御呼びですか?」
「この鍵を持ってね」
ここで鍵を一つ彼女に差し出すのだった。
「それで洋服箪笥を開けて」
「はい、箪笥を」
「それであの人のサーベルを二つ」
まずはそれであった。
「それに帽子と軍服を二個、二着それぞれ持って来て欲しいのよ」
「どうされるのですか?」
「訳は聞かないで」
(あらあら)
デスピーナは彼女の言葉を聞いて内心笑った。
(これはまた面白くなってきたわね。このお嬢様もいよいよ)
(これしかないわ)
フィオルディリージもフィオルディリージで心の中で呟く。
(ドラベッラも目が覚めればいいけれど。私達は戦場へ)
(無駄に決まってるのに)
フィオルディリージは深刻に、デスピーナは陽気に心の中でそれぞれ呟き続ける。
(それ以外に私達が操を守る方法はないのだから)
(もう楽しめばいいのに)
「わかったわね」
「はい、お嬢様」
心の中で笑いながら真面目に頷くのだった。
「それではすぐに」
「あとは郵便用の馬を」
「馬もですか」
「ええ、六頭。すぐにね」
それも頼むのだった。
「御願いするわ」
「はい、それでは馬も六頭すぐに」
「最後にドラベッラもよ」
妹も呼ぶのだった。
「私が呼んでるって伝えて。いいわね」
「また随分と物々しいですね」
「そうでもしないと駄目だから」
ついついどうしてなのかも言ってしまうフィオルディリージだった。
「だからよ」
「では今すぐに」
「御願いね」
「それでは」
心の中でにこにことしながらその場を去る。フィオルディリージはその小さな軍師を見送りながらまた一人呟くのだった。
「フェランドさんの服が一番いいわね」
こう呟くのだった。
「ドラベッラはグリエルモの。それが似合うわよね」
「おお、そうなんだよ」
ここで声をあげたのはアルフォンソだった。実は彼はずっと物陰から姉妹を見ていたのである。そこにデスピーナも一緒にいた。当然あの二人もだ。
「ほら、フィオルディリージは最後まで陥落しないぞ」
「じゃあ僕だけなのか」
グリエルモは喜んでいてフェランドは歯噛みして今にも地団駄を踏みそうである。
「全く。僕は何て不幸なんだ」
「だから明日の朝まで待っているんだ」
アルフォンソはこう言ってそんな彼を宥めるのだった。
「いいね」
「よくはありませんよ」
「けれど明日の朝までだ。そうしたらわかるから」
「その言葉偽りはないですよね」
「勿論だよ」
それは確実だと保障するアルフォンソだった。
「私は芝居はするが嘘は言わないからな」
「じゃあ信じさせてもらいますよ」
「
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