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ソードアートオンライン 弾かれ者たちの円舞曲
第肆話 《壊すモノ》
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ヘビ型モンスター《ブルーブラッド・サーペント》の攻略法はアルゴの攻略本にて明記されている。
攻撃方法は主に口から吐き出す青色の毒と牙での噛み付き、そして長い胴体を利用しての締め付け。ヘビの攻撃技としては鉄板も鉄板のラインナップだ。
特に気をつけるのは、勿論毒だ。これは喰らってしまうと、二十秒もの間継続ダメージを受けてしまう。麻痺は無く、継続ダメージ自体も微々たるものであっても、ダメージの不快な痛みで集中を途切れさせてしまうことは明白だろう。
そしてMobとの戦闘、付け加えて一人での戦闘で他のことに気を取られすぎれば――その結果は言うまでもないが――死が待っている。
「このクエストでは、何人か死んだって話しもあるしな……」
シキはそんな風にひとりごちて、木々の隙間から覗く空を見上げた。
巨木の間から見える空は重く暗い雲を抱え、今にも泣きそうだった。
がさり、と茂みから音を立て、一体のMobが現れた。
シキがそちらに目を向けると、その表情はあからさまに落胆を訴えていた。
そこには黒い毛皮を被り、赤い攻撃的な色の隻眼でシキを見つめるクマがいた。
そのMobの名前は《ウィキッド・ベア》。
「……ハァ」
本当に、本当に面倒くさそうに溜息を吐いて、後腰のダガーを抜いた。
ダガーを逆手で構えた直後、クマが助走とともに走り込んできていた。
シキが向かってきたクマ額の『点』を突いた、その直後クマの姿が一瞬静止した。その後、《ウィキッド・ベア》はまるで吸血鬼が日光を浴びたかのように消え失せた。
《ブルーブラッド・サーペント》は一箇所に留まることは三分ほど丸まっている状態以外では無い為、非常に見つけづらい。
「……茅場晶彦はどうしてこうもまた面倒なクエストを用意したのかね……」
肩を落とし、もう一度溜息を吐いた。
今日はどうにも、溜息が多くなってしまっている。
「まぁ、仕方ないよな」
そんな風にまた溜息を吐いた。

      ○●◎

「キ、キキキ、キキキキキキキ――――ッ!」
「…………。ああ、いつものか」
「キ、キキキ………。……ん。すまんね。して、何用かな?」
劇役者風の男は自分に話しかけてきた男へと向く。
「本当にいいのか?」
「何がかね?」
男の問いの意味を理解しながらも、微笑むだけの劇役者風の男。
「…………」
「まぁ、いくら彼を刺激しても意味が無いことは理解しているよ。だが万に一つということもある。いや、むしろ放置しておくよりも、刺激を与えた際の方が完全覚醒する可能性の方が高いと思うがね?」
「…………ではな」
「また生きて会えることを楽しみにしているよ。君の健闘を祈ろう」
「無神論者が何を言うか」

      ○●◎

「…………? あれか?」
あれから二十分ほど探索を続け、シキは
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