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銀河英雄伝説〜その海賊は銀河を駆け抜ける
第四十一話  雷鳴近づく
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ム公が我々を招待してくれるのだ、受けねば非礼と言うものだろうな』
「はい、向こうは我々が来るのを今か今かと待っているでしょう」
ビュコック司令長官が頷いた。
『ヤン提督、艦隊を惑星ウルヴァシーへ移動させてくれ。全軍を集結させ帝国軍に決戦を挑む』
「はっ」
敬礼をすると司令長官が答礼をしてきた。

艦隊を惑星ウルヴァシーへ移動させるように指示を出しながら思った。問題はこれからだ。如何にしてローエングラム公を戦場で殺すか……。簡単な事ではないだろう、相手は防御に徹するはずだ。しかし何処かでローエングラム公が防御に我慢出来なくなるはずだ。彼のプライドとロマンチシズムが防御より攻勢を採らせる。その時、帝国軍の陣に綻びが生じるかもしれない……。



帝国暦 490年  4月 25日   ガンダルヴァ星系  ウルヴァシー   エーリッヒ・ヴァレンシュタイン



「随分と寂しくなりましたな」
メルカッツの言葉にルッツ、ワーレン、ミュラーが頷いた。もちろん俺も頷いている。元々は十四個艦隊がこの星に集結していたのだ。それが今では三分の一にも足りない四個艦隊に減っている。

基地の中も随分と人が少ない、寂しいと感じるはずだ。おまけに声のデカい奴と馬鹿みたいにキャンキャン騒ぐ奴もいない。惑星ウルヴァシーは至って平和だ。聞こえるのは基地の建設をしている工事の音だけだ。今俺達は大広間に居るのだがなんとも寒々しい限りだ。

「今の所、どの艦隊からも反乱軍と遭遇したという連絡は有りません」
ワーレンの言葉に皆が頷いた。どの艦隊も同盟軍と遭遇していない。つまり連中はゲリラ戦を停止しているという事だ。理由は一つ、集結して此処を目指すという事だろう。つまり決戦というわけだ。

俺が唯一心配していたのが同盟軍がこちらの誘いに乗らない事だった。このままゲリラ戦を続けられたらどうしようと思っていたのだがどうやら杞憂で済んだらしい。まあ領内で敵に居座られるのは面白くないからな。早めに決戦して帝国軍を追い出そうというわけだ。という事で今度はどうやって同盟軍の攻撃を防ぐかを考えなければならん。面倒な事だ……。

「この静けさもあと三日と持たんということですか……」
今度はルッツだ。また皆が頷いた。帝国軍の艦隊が動き始めたのが十四日。おそらく今月末には目的の補給基地に辿り着く。その前後に同盟軍は此処に押し寄せてくるはずだ。

各艦隊が出撃以降、ガンダルヴァ星域外縁部には哨戒部隊を出しているが今の所報告は無い。だがそれもルッツの言った通りあと三日とは持つまい、早ければ今日にも同盟軍発見の報告が来るはずだ。その後はどんなに短くても最低十日間、おそらくは二週間は此処に有る四個艦隊で同盟軍を抑えなければならない。同盟軍にとっても帝国軍にとっても灼熱の二週間
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