第一物語・後半-日来独立編-
第三十八章 戦場で踊る者達《1》
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だ。
落ちるネフィアを追うように、空からは十の銃弾が追尾してくる。
大気を裂き、その際に鳴る音を耳で捕らえながら地面へ足を着く。
先程のようにクッションは必要無い。
先程は騎神によって必要以上の勢いを付けられたためにクッションが必要なだけであって、今回のように高さが二十メートルからの落下は、獣人族にとってはスリルを味わう為の遊びでしかない。
尻を落とし、脚を曲げ、衝撃を吸収しそれだけだ。
曲げた片足で地面を蹴り飛ばし、迷い無く素早く走り出す。
●
町民グラウンドの周りには体育館や公園やらがあり、またその周辺には飲食店や家などが建てられていた。
基本、どれもが日来の住宅と同じ木造で、オシャレ感覚で幾つかの飲食店が煉瓦やコンクリートで外装を固めている。
横目でそれを見ながら疾走するネフィアの背後、銃弾が勢いそのままに追って来る。
今、見える数は三。
だからここで打ち落とす。
走り、前に進む為に地面から離れた片足を地面に着け、その足を軸に反転した。
正面に見える弾丸。目に捕らえられる速度だ。
螺旋を巻いて、一直線にこちらに向かう。
「起きなさい、銀冠|(ジィルバーンクローネ)」
その言葉に腕輪となった銀冠は震え、応えるように鞭へと形を変える。
右の手に握る銀冠を左右に、交差に振りながら地面を叩き付ける。
数回繰り返した後、一つの銃弾に向かい鞭を振った。
鞭も銃弾と同じく一直線に、しかし鞭はその長い縄を真っ直ぐに伸ばし固まった。
先端を尖らせた、ランスへと形を変えた。
開いた間を縮めるように銃弾は進み、銀のランスを避けることもなく向こう側にいる目標に向かい行く。
次の瞬間、一つの銃弾が弾けた。
まだだ。ランスを平たく潰し、長剣とし、それを両手を使い左へと振り抜く。
家の持ち主には悪いですが、悪くは思わないでくださいな。
建っていた建物に長剣が当たり、裂いていくが今は気にはしていれない。
自分を穿とうと銃弾が迫っているのだ。
そして、左側を行く銃弾が銀の長剣により真っ二つに切断された。
安心はまだ出来無い。
もう一つ、いや、正確にはもう八つ。
一先ずは視界に映る残りの銃弾を落とす。
長剣は急に縮まり、ネフィアの掌に球状として戻って来る。
銀の球ですることは一つだけ。
投てきだ。
銃弾に掛けられている加護は対象物が直線上にいる時、軌道修正の精密度が下がるようだ。
だからこのように、真っ直ぐに投げても問題は無い。
「ふっ――」
息を短く吐き、全身を使った投てきを行う。
速度は銃弾とほぼ等しく、生み出される結果は銃弾の崩壊だ。
実弾は銀の球に負け、粉々に砕け散った。
「こら、何時まで進んでますの。戻って来なさいな
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