第一物語・後半-日来独立編-
第三十八章 戦場で踊る者達《1》
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ネフィアだ。
銀冠を握る右の手は怒りにより震え、何時襲い掛かって来てもおかしく無い。
ネフィアが立っているナイター照明にはひびが走っており、そのひびからは欠片が落ちる。
「同じ学勢院なのに、どうしてそうも冷たいのか不思議ですわ……。長を救いたいとは思いませんの!」
『だから何でそんなに熱くなってんだよ、キモいって。オレから言わせればあの長は赤の他人だし、一度も話したこともねえし。そんな奴のために将来犠牲に出来ねえって』
当たり前のように、そう言う。
『てか、日来みたいに辰ノ大花追い込まれてねえから、黄森との関係を悪くさせたくねえんだよ。それが理由で社交院の取り決めで今回、黄森と手を組んでこうして一緒に日来と戦ってるわけだし? まああ? 今後のことを考えればそれは当然だし、上から言われたんじゃ従うだけだよな』
「なるほど、つまり辰ノ大花は彼女を見捨てるのですわね。さすがは神州瑞穂の主戦力の一つ、誰であろうと辰ノ大花を脅かす存在ならば容赦は無いですわね。それが今日、いや、これからも辰ノ大花を治める筈だった委伊達の者であっても」
『しょうがねえよ、そういう世の中なんだ。やらなければやられる世の中じゃねえ。力が無きゃあ何にも出来ねえ、そんな世の中なんだよ』
だから、
『黄森に劣る辰ノ大花が、黄森に逆らえるわけねえだろおがよ!』
騎神は握っていた銀の鞭を勢い良く下に振り、鞭を持っているネフィアをナイター照明から振り落とす。
今度はネフィアが、グラウンドに土煙を立たせ激突した。
『オレ達はお前ら日来と違う。身勝手に動くようなお前らとはな』
「言ってくれますわね。ならば、ここは力付くで行かせてもらいますわ!」
銀冠をゼリー状にし、それをクッション代わりに用いたため無傷で済んだ。
周りに立つ砂煙を銀冠を鞭状にし、それを振った際の風圧により吹き飛ばす。続けて土のグラウンドを踏み込み、騎神へと跳んだ。
地面を蹴った。ただそれだけで騎神と高さを同じにし、勢いそのままに騎神へ銀冠を振る。
『幾ら獣人族って言っても騎神相手の近接戦闘は不利だろ』
「獣人族ではなく半獣人族ですわ。それに騎神との戦いは一概に不利とは言い切れませんわ。特に障害物の多い町なかでは」
相手の攻撃を避けた騎神は後ろへバックし、短機関銃に手を掛けようとした。
が、伸ばした手がある瞬間動かなくなった。
どうなっているのかと、背にやった右の手を見ればあの半獣人族が持っていた銀の武器が手に密着していた。
動かない。
この銀の武器によって、動きがロックされているのだ。
ならばと、左手で長銃を手にしようとするが止めた。
長銃は近接戦闘向けではないからだ。
遠距離射撃が売りのこの長銃では近過ぎる敵相手に充分な性能を発揮出来無いし、連射性に欠
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