第二幕その九
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第二幕その九
「何を?」
「これを」
その後ろからかけさせたのだった。
「こうしてはどうですか?」
「後ろからなのね」
「奇麗な首だ」
うっとりとしてドラベッラに囁く。
「そして貴女のペンダントは」
「はい」
また向かい合っていた。グリエルモのペンダントはドラベッラの首にあり彼女のペンダントは彼の手の中にあるのだった。入れ替わりになっていた。
「私のものに」
「それは私が」
ドラベッラはうっとりとして彼の手からそのペンダントを受け取って。そうしてそのうえで自分の手で彼の首にかけるのだった。その首に。
「こうして」
「有り難うございます」
「それでは私は」
「そう、私は」
二人で言い合いそうして。
「このまま愛と心を交えさせて」
「新しい喜びと」
「甘い悩みと共に」
二人は腕を組み合いそのうえで何処かへと消えた。そうしてそのうえで消えるのだった。
そしてその頃フェランドは海辺の野原でフィオルディリージを追っていた。
「お話を聞いて下さい」
「いいえ」
しかし彼女はフェランドを避ける。そうして野原の中を舞い続けている。
「なりません、それは」
「何故ですか?」
「貴方は酷い方です」
拒む目でフェランドに言うのだった。
「私の心の平和を乱して」
「ですが私は」
「どうされるというのですか?」
「貴女を幸せにできます」
これまた一途に言うフェランドだった。そしてフィオルディリージは何時の間にか彼の言葉を立ち止まって聞いていた。
「必ず」
「嘘です」
「御願いです、少しだけでいいんです」
演技であるが必死であった。
「こちらを見て下さい」
「なりません」
それすらも拒むフィオルディリージだった。
「それだけは。なりません」
「それならばです」
ここでフェランドは無意識のうちに。駆け引きに入っていた。
「貴女がより優しい瞳で見て下さらないと駄目です」
「優しい瞳で」
「そうです」
こう言うのである。
「どうか、私を見て」
「それはできません」
「ではその溜息は」
また駆け引きを仕掛けるのだった。
「何なのですか?」
「えっ!?」
「貴女は私の涙に耐えられない。優しい愛の気持ちにあがらうことはできない」
こう言うのである。
「優しい愛の気持ちにあがらうことができない」
「それは嘘です」
「あの顔、あの溜息の仲から優しい光が私の中に射し込む」
フェランドの言葉は続く。
「貴女は私の熱い望みに答えてくれた。もう貴女は優しい愛にほだされている」
「私にはそれは決して」
「しかしです。貴女は逃げて黙り」
ここで言葉を変えてきたのだった。
「私の訴えを聞き流す。それは儚い望みです」
「そんなことを望まれて
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