夏の日暮れの心象風景
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は、できなかったですよ」
そしてオーベルシュタイン自身も、将兵たちの歓声を聞くことなく、「嫌われ者」としての生涯を貫いたことだろう。明日からの軍務が何ら変わるわけではない。フェルナーも上官も、態度を変えるわけでもない。だが、きっとそれぞれの心の中が、気分が変わるだろうと、シュルツは付け加えた。
人だかりの中心で部下たちの話に耳を傾けていたオーベルシュタインが、ふいに目を上げてフェルナーの顔を見た。アルコールでほんのり頬を染めながら、眩しげに目を細めて微笑む上官の顔を、フェルナーは生涯忘れなかった。
夕暮れの太陽に蝉の声が重なって、その光景は多くの軍務省員の心象風景となって残された。
オーディンで過ごした最後の夏、7月の終わりの出来事である。
(Ende)
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