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銀河英雄伝説<軍務省中心>短編集
夏の日暮れの心象風景
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置が力の限りに鳴り響き、「これは訓練にあらず」と緊迫したアナウンスが繰り返されていた。
「敵襲か」
軍務省の主は誰よりも落ち着いて呟くと、手早く書類をしまいこんで次の行動に備えた。
……ここまでは予定通りだ。
フェルナーはしたたかな笑みを浮かべた。訓練開始と同時に、想定外の爆破テロが起こる。訓練ではないという空気を作り、省内が騒然としたところで……
「閣下、どこかから火が出た模様です。ご避難を!」
廊下の方から白い煙が立ち込めてくる。逃げていく複数の足音に混じって、近づいてくる2つの足音を、オーベルシュタインは素早く聞きつけた。
「フェルナー……」
「動くな!!」
執務室に許可なく駆け込んできた下士官姿の二人組は、ブラスターを構えてオーベルシュタインに狙いを定めた。
おいおい、閣下に銃を向けるなんて、いくらなんでもやりすぎだ。
既にブラスターを抜いていたフェルナーは、内心の苦笑を表に出さず、鋭い眼光で暴漢二名の背後にある室内装飾をめがけて発砲した。ガシャンとガラスの割れる音に気をとられた隙に、瞬時に間合いを詰めて一人の鳩尾(みぞおち)を蹴り上げる。前線に出ないひ弱な事務官の思いもよらない反撃に、もう一人が動揺して……
「え?」
動揺したところで銃を叩き落すシナリオだったはずが、もう一人は既に軍務尚書へと掴み掛かっていた。
「おい、そんな予定じゃ……」
言いかけて、その男の、まごうことなき殺気を感じ取った。まさか!こいつらは、仕込みの下士官じゃないってのか!
起き上がろうとする、先ほど加減して攻撃した男の顔を、咄嗟の判断で蹴り倒し、フェルナーはオーベルシュタインへと駆け寄った。間に合わない!
「閣下!!」
その暴漢がいったん構えた銃を使わなかったことが幸いした。オーベルシュタインは圧し掛かる大柄な男の体を右方向へ流すと、自らもブラスターを抜き取りながら、振り返るようにして左手で男の腕を捻り上げた。躊躇いなく右肩を撃ち抜くと、暴漢は呻き声を上げながら膝をついて床へ倒れこんだ。
一瞬の出来事だった。フェルナーが唖然としてその様を眺めていると、ヴェストファル率いる護衛隊がなだれ込んできて、二名の暴漢はたちまち縛り上げられた。
「ご無事ですか、閣下!」
オーベルシュタインは暴漢に触れた右半身の埃を払うような仕草をしてから、問題ないと答えた。ヴェストファルがホッとしたように息を吐きながら、フェルナーへ目配せする。
「申し訳ありません。情報が交錯して、駆けつけるのが遅れました」
フェルナーも小さく首を振りながら答える。
「仕方ない。俺も、今の今まで仕込みだと思い込んでいたんだ」
男たちが現れた時点で、本物の暴漢であることを見抜けなかった自分を、フェルナーは呪わずにはいられなかった。計画とはいえ、オーベルシュタインには「本物
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