五十四 窮地
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も己を呼ばぬ宿主に、九喇嘛はいい加減痺れを切らした。即ち、身体の主導権を無理矢理奪ったのである。
【風遁・練空弾】。物凄い勢いで飛んできた空気の砲弾をナルは片手で弾き飛ばした。その腕からは禍々しいチャクラが立ち上っている。
朱きチャクラをその身に纏い、彼女はガマブン太の頭上で冷然と目を細めた。くくっと喉を鳴らす。
《クソ蛙、油だ!》
「誰がクソ蛙じゃ!!」
ナルの口から放たれた九喇嘛の声に、ガマブン太が反論する。それでも即座に大きく息を吸った蛙の上で、ナルも唇を人差し指と中指で軽く押さえた。
ガマブン太の腹が膨らむ。ナルの口からひゅっと軽い指笛が響いた。
「「【火遁・蝦蟇油炎弾】!!」」
ガマブン太の並外れた肺活量による蝦蟇油。九喇嘛の圧倒的なチャクラによる炎。
火遁の術など使わなくとも充分強い九喇嘛。故に火遁の術と言っても印を適当に結んだため、通常の火遁よりも威力は遥かに劣る。
しかしながら練り込んだチャクラが半端なく、更にガマブン太との連携によってその場は火の海となった。
あの守鶴の巨躯が一瞬で炎に包まれたのである。
「あち!あちちちちちィっ!!」
あまりの熱さに守鶴が叫ぶ。真っ赤に燃え盛る炎が地を焦がし、森林を焼き尽くす。
加えて、激痛に耐え兼ねた守鶴が転げ回るため、その場は酷い有様となった。
その惨状を平然と見ていたナルの瞳が瞬いた。赤から青へ、目の色が変わる。
凄まじい光景を目にした瞬間、ナルが無意識に九喇嘛から身体の主導権を奪い返したのだ。
「が、ガマ親分!!み、水だってばよっ!!」
「火の次は水かいっ!忙しないやっちゃ!」
ガマブン太に助けを求める。眼下の森にいるサスケ達の身を案じて、ナルは慌てて叫んだ。寸前との変わり様に動揺しつつも、ガマブン太は周囲に【水遁・鉄砲玉】を撃った。
その場一帯に注がれる豪雨。
ガマブン太の水遁で鎮火した自らの身体を守鶴が見下ろす。熱さから逃れた彼はこのような仕打ちに合わせた敵を睨みつけた。
「てっめえぇえええ!!よくもやりやがったなあァア!!」
咆哮する。ガマブン太へ迫った彼はある一点だけを集中的に狙った。
未だ状況が呑み込めないナル、目掛けて。
腕を振るう。途端、【砂手裏剣】がガマブン太を襲う。【風遁・練空弾】といった大技とは一転した術に、ガマブン太は一瞬気を緩めてしまった。余裕でかわす。
しかし術自体は我愛羅と同じだが、それ以上に強力で膨大な数の【砂手裏剣】。その上、手裏剣の的はガマブン太ではない。ナルだ。
「え、うわ…っ!」
知らぬ内に目の前が炎の海と化していた。それでも自分の身より仲間の身を優先したナルは、サスケ達がいるであろう森の火を消そうとしてガマ
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