湘南 極楽院にて
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見せない千李をみて大もあきらめたのかされるがままになっている。
それを見ていた三大は「ホッホッホ」と小気味よい笑いを漏らした。
「ホレホレ二人ともいい加減中に入りなさい」
「ええ。じゃあ大行きましょうか。積もる話もあるし」
「うん。それよりもこれおろして欲しいんだけど?」
いつの間にか大はお姫様抱っこされていた。
まぁ確かに男からすればあまり良いものではないだろう、大和も百代にされていて嫌がっていた。
「おっとごめんごめん。あまりのうれしさで自分でもわからない行動に走ってたわ」
言うと千李は大をおろし二人は極楽院の中に入っていっった。
中に入り千李と大は茶の間で出されたお茶をすすりながら思い出話をしていた。
といっても大はほとんど昔の記憶がないので、おおよそが千李の話だったが。
それでも大と千李は楽しそうに談笑していた。
とそこへ三大がやってきたその横には一人の女の子が立っていた。
女の子の特徴を挙げるとすれば一番目に付くのはその澄み切ったような瑠璃色の髪だ。
そして幼いながらも端整な顔立ちをしているしかし、その右目には無骨な眼帯がかけられていた。
千李たちがその子を見ていると三大が口を開いた。
「ヒロ坊。すこしこの子と遊んでやっとくれ」
「え?いいけど……」
大は若干迷った様子だったがすぐに了承し女の子と庭に出て行った。
女の子も大に物怖じせずに手をつなぎずんずんと大を外に連れ出していった。
二人の姿が見えなくなると三大が口を開いた。
「あの子はね私があずかっとる最後の子なんだよ」
「最後の?」
最後という言葉に千李は引っかかったのか「最後って?」と聞き返すと三大は苦笑混じりに行った。
「私もそろそろ引退だからねぇ。あの子を預かることはできてもこれ以上育ててやることは無理かもしれないんよ」
「マキはここを継がないの?」
千李が言うと三大は「あの子がこんなところ継ぐと思うかい?」と聞き返され、それに対し千李は何も言えずただ微笑を浮かべるだけだった。
「そこでねセンちゃんにお願いがあるのよ」
三大の声のトーンが多少低くなったことを感じ取った千李は真剣な面持ちで三大を見つめた。
すると三大も体全体を引き締め千李をまっすぐと見つめた。
「センちゃんにはね……」
その言葉の後に千李は信じられない言葉を耳にした。
「……あの子の親になってもらいたくてのぅ」
三大のその言葉に千李は後ろに倒れた。
だがすぐに起き上がると千李は声を荒げた。
「何を言ってんだ三大ばあちゃん!?私が!?あの子のお、お、親になるなんて!?
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