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真剣で武神の姉に恋しなさい!
湘南 極楽院にて
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 そう言った千李がふと時計を見るとすでに11時10分だった。

「やば!ええいもういいやその辺の人に聞こう」

 千李は言うとあたりを見回した。

 すると一人の少年が目に入った。

 背丈からして年はおそらく大和達ぐらいだろう。

 ……若い子だから知らないかもしれないけどそんなこと言ってられない!

「おーい!そこの男の子ちょっと聞いてー!」

 千李が駆けながら呼び止めると少年は振り返った。

 呼び止めたときは後姿だけだったので顔は見えなかったがとても真面目そうで誠実そうな少年だった。

「あの、俺に何か御用ですか?」

 少年は急に呼び止められたのにもかかわらず素直に応答した。

「うん。君にちょっとね、えっとさ君……極楽院三醍寺って知ってる?」

「はい知ってますよ。なんなら案内しましょうか?家近いんで」

 千李が聞いたことに少年は快く了承してくれた。しかも案内までしてくれるというおまけつきだ。

「ほんとに!?いや〜助かるわー。じゃあお願いできる?」

 千李が言うと少年は「はい」と返事をし二人は並んで歩き始めた。



 「本当にごめんね。買い物帰りだったところを呼び止めちゃって」

 「いえ。気にしないでください。あ、すいません。生ものとかもあるんで行く途中で家によっても良いですか?」

 少年の問いに千李は「もちろん」とうなずいた。

 ……案内して貰ってるんだからあたりまえよね。……でもこの子どっかで見たよう気がするのよね。

 千李は過去の記憶を手繰っていた。

 考え込んでいると少年の家の前に到着したのか少年が立ち止まった。

「すいません。じゃあこれだけ置いてきちゃうんでここで待っててください」

「ええ。そんな急がなくても良いからね。時間には余裕があるし」

 千李が先ほど時計を確認したらまだ多少の余裕が残されていた。

 少年はうなずくと家の中に入っていった。

 姿が消えるのを見送ると千李は手をあごに当てて考え込んだ。

 ……やっぱりどこかで見た気がするのよね。どこだろう?

 千李が悩んでいるとこの家の表札が目に留まった。

 表札には「長谷」とあった。

「ながたに?いや、はせの方が正しいのかしらね。ん?長谷?」

 ……これもどこかで聞いた覚えがあるんだけど。ああもう考えすぎかしらねぜんぜんまとまらない。

 頭を抱えていると少年が荷物を置き終え家から出てきた。

「すいません。お待たせしました」

「いえ大丈夫よ。じゃあ案内お願いします」

「はい」

 そして二人はまた歩き始めた。

 千李は歩いていてわかったことがあった。

 それはこの少年が周囲から
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