友達になろう
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再び宝箱を開けると・・・。
「キュ、キュ!」
「「!?」」
シェリーとガルドは驚いた。
ガタガタと震えながら、やわらかな枝を差し出すスラ子。
生きる為に必死である。
「な、なあ。」
「な、なによ。」
「もし誰か見たら、俺達が恐喝しているように見えないか?」
「・・・見えると思う。」
どうしてこうなった!?
2人は心の中で叫ぶ。
友達になろうとしたら、こんな状況だ。
誰も悪くはない。
唐突な出会いがまずかった。
「あのね、枝はいらないから。」
「キュ?」
怖がらせない様に、優しく告げるシェリー。
「私達と友達にならない?」
「キュ!?」
今度はスラ子が驚く。
襲われると思っていたのが、友達になりたいと言われた。
そんな人間は初めてだ。
半信半疑で、じーっとシェリーを見つめる。
「本当よ。その証拠に食べ物をあげるから。」
ちょっとまて。
友達になりたい者を、食べ物で釣るのか!?
それって餌付けじゃ・・・。
「キュー!」
スラ子も簡単に釣られるな!
小動物扱いだぞ!
いいのか!?
「キュー♪」
あっ、駄目だ。
完全に心奪われた目だ。
「あちゃ〜。さっきの雨で、道具袋の中もぐちょぐちょだわ。」
「仕方あるまい。あの土砂降りの雨じゃな。」
「えへ、毒消し草じゃ駄目かな?」
「お前なぁ、それ食べ物じゃないだろう。」
いやいや、立派な食べ物です。
だってほら。
「キュー♪キュー♪」
毒消し草と聞いて興奮している。
スラ子は今までに、様々な草を食べてきた。
コルット地方で食べてない草は、ないと断言してもいい!
だからこそ、知らない草に惹かれるのだ。
「ふむ。」
「キュ?キュー!」
頭を撫でようと、ガルドは手を伸ばしたが・・・。
スラ子は避けた。
全力で避けた。
脱兎の如く避けた。
「「・・・・・・。」」
オーガ一族は、他の人種と比べて体格が大きい。
ガルドはオーガ一族の中でも、巨漢に分類される体格の持ち主だ。
巨人。
スライムから見れば、まさに巨人そのもの。
伸びてきた大きな手に、スラ子は想像してしまった。
ガシッと掴まれ、パクッと頭から噛まれ、モグモグと食べられる。
そんな想像を・・・。
「・・・ふふふ、またか。」
ガ、ガルドさん?
「いつもこれだ。子供に泣かれる。小動物に逃げられる。」
何やらトラウマがあるようだ。
ぶつぶつ呟きながら、体育座りで、地面にのの字を書いている。
あー、その、うん。
強く生きてくれ!
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