8話 林道 五也side
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叶ったんだから」
こうやっていつも無難な対応をする自分が嫌になる。
「そ、そうッスよ! いやー本当に転生できてよかったー!」
こうやって嫌な雰囲気を吹き飛ばすようにする辺り、少し頭が弱い奴かと思っていたが評価を改めた方がいいかもしれない。
「でもさ、夢ってのはちょっと違うッスね」
「違う、とは?」
「俺の夢はバスケで天辺とることッスから」
「だったら黒子のバスケからでも身体能力やらなんやらもらえばよかっただろうに」
そっちの方が簡単に叶えられただろうに。
「それじゃあ意味がないんスよ、やっぱこういうのは自分の手で叶えないと駄目なんスよ」
「そういうものか?」
「そうっすよ、他人に“叶えてもらって”満足できるようなもんじゃないんスよ」
まあ、かなり評価を変えてもいいかもしれない。
「因みにあとの俺の特典は男のロマン目からビームッス!」
下方修正確定。
「馬鹿かお前は! 男のロマンと言えば彼女・恋人の手作り弁当・秘奥技だろうが!」
秘奥技は秘奥技中の決め台詞込みだ。
「馬鹿とはなんスか馬鹿とは! つうか男のロマンっつったら目からビーム・合体変形・変身に決まってるッス!」
「ハッ! ガキが!」
「んだとコラア!!」
ガッとお互い胸ぐらを掴み合う。
「……やめるなら今の内だ」
「ああん? びびったんすか」
「ハッ! 冗談はそのロマンの内容だけにしておくんだな!」
「上等ッス!!」
それを最後にお互い頭を引き、全力で頭突きをする。
ゴッ!!
その鈍い音が仁義なき闘争の幕開けを告げた。
そこからは酷いものだった。
平和な日常を歩んできた俺と、病弱で運動もままならない日々をおくってきた武藤。
言うまでもなくバトル漫画などのようにいくわけもない、端から見れば無様そのものだった。
お互い殴ると言うより拳をただ相手に叩きつけるだけ、髪を引っ張り合い、突き飛ばし、馬乗りになろうとする。
だが所詮は子供の体力、あまり長くも続かず、距離が空いた時にはお互い肩で息をしていた。
「五也! あんたはわかってないわかってない!!」
そんななか武藤は息も絶え絶えに叫び始める。
「本当の男のロマンってのはどうしても叶わなくてもどうしても憧れてしまうもんなんだよ!!」
「俺もそれ自体を否定する気はない」
「だからあんたのそれは秘奥技以外は手に入れられるものに過ぎない以上ロマンとは言えない!!」
「なん……だと………」
………こいつは今なんと言った? 聞き間違いでなければ手に入れられると言った気がしたが?
俺の中での定義が間違っていなければ、恋人とは「
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