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魔法少女リリカルなのはA's The Awakening
第十話
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にするなよ。なんでここにいるのか、なんて野暮なことは聞かないからさ」

 ウォッカの瓶を傾けて直接喉に流し込む。本来直接飲むと喉が焼けそうなくらい度数が高い銘柄なのだが、それを気に止めることなどない。

「いい祭りじゃないかこれ。酒を飲みながらこの世界のロックの歴史を直接生で聞けるなんて滅多なことじゃない。しかもなかなかイイ女が集まってるし、これはいいタイミングでここに来れたもんだ」
「あらそう。できればさっさと帰って欲しいのだけど」

 リンディはいきなりストレートに嫌悪感を叩きつけるが、青年はそれを受け流した上で笑ってみせる。

「まぁそう言うなよ。せめてこの祭りの間くらいは楽しませろ」
「……なら、終わったら帰るんでしょうね?」
「こいつを届けるのが今回の俺の仕事だからな。一回報告に行かなきゃならん。面倒くせぇが、受けた以上はきっちりこなさなきゃな」

 そんな彼と一緒にいるのはリンディ。終始眉間にしわを寄せているのは、この青年が彼女にとって厄介極まりない存在だからだろう。

「しかしまぁ何だ、そっちもなかなか大変だな。まさかこんな辺境の世界に追いやられるとはよ」
「大きなお世話よ」
「ちょっとやりすぎたんじゃねぇのか?それでなくてもお前さんのところは上層部からかなり目をつけられてるらしいじゃねぇの。旦那を『アレ』に殺されてから、相当ムチャしてきたろ」
「あら、あなたが他人の心配をしてくれるなんて、明日は雨かしら?でも私としては降って欲しくないわね」
「ま、俺としちゃどっちでもいいや。あ、でもこの素晴らしい祭りが中止になっちまうのは嫌かもな」
「相変わらずね……『殺人警察』フレディ・アイン=クロイツ一佐」
「アンタもな。『鋼の艦長』リンディ・ハラオウン提督」

 そういってカラカラと笑う青年。リンディは表面上は問題なく装っているが、緊張感が周囲に伝わっていく。



 そんな中、直人はなのは達と共に翠屋の営業を手伝っていた。てんてこまいだった時間も一旦すぎ、今は子連れの親だったり老夫婦だったりが終わらないお喋りを続けている状況。

「そういやそろそろ先輩が出てくる時間帯か……」
「あ、そうなの?竜二さんのステージかぁ……生で見たことないから見たいなぁ」

 美由希と直人が作業をしながら言葉を交わす。直人は以前翠屋に入り浸っていた時期に、することがないとぼやいたらあれよあれよという間に翠屋のアルバイトスタッフとなっていたことがあったそうだ。

「まぁ、言うて俺らは動けないんやけどね。ここからでも充分聞こえるとは思うけど」
「うんうん。お仕事の方が大事だよね」
「しかし、俺翠屋で雇われた記憶はないんやけど……まぁええか」
「一時うちでバイトしてくれてたじゃないの。あの時は助かったわ」
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