第四十六話 また一人その二
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「俺はそうだけれどな」
「僕は食欲をそそるってところまではいかないですけれど」
それでもだと答える上城だった。
「それでもマトンの匂いは」
「大丈夫か」
「はい、平気です」
そうだというのだ。
「いけますから」
「じゃあ食べてくれるな」
「はい。それにしても羊の肉をオープンで、ですか」
「肉なら何でもな」
オープンで焼くというのだ。中田は。
「ああしてじっくりと油落として焼くといいんだよ」
「高タンパクヒクカロリーですね」
「それに味もいいんだよ」
そっちの方もいいというのだ。
「だからこうしてよくオープンでじっくりと焼いてな」
「召し上がられてるんですか」
「そうしてるんだよ。よくな」
「お肉をオープンで焼くんですか」
「そのやり方は知らなかったか?」
「母が時々してます」
一応は知っているというのだ。
「けれど僕料理はそんなにしないですから」
「ああ、そうなんだ」
「インスタントラーメンは作りますよ」
「それはなあ」
「作ったうちに入りませんか?」
「あれだろ。蓋開けてお湯を注いで」
「はい、三分ですね」
誰もが知っているやり方である。
「それですね」
「それは流石にな」
「作ったうちには入らないですか」
「流石にそうは言えないだろ」
中田はゲームに顔を戻して笑って言う。
「幾ら何でもな」
「あっ、袋のものも」
「チキンラーメンじゃないよな」
「それも作りますけれど」
これもお湯をかけて三分だ。尚このラーメンが世界で最初に作られたインスタントラーメンである。そうした意味で偉大なラーメンだ。
「それでもです」
「それでもなんだな」
「ちゃんと他のラーメンも作ります」
「じゃあどの袋麺がいいんだい?」
「そうですね。エースコックのワンタンメンに」
これまた古典的な袋麺である。
「それに塩ラーメンに」
「あれいいよな」
「そうですよね。手堅い味ですよね」
「安定感のある美味さだよな」
中田も塩ラーメンはこう評価する。
「麺が結構太くてな」
「適度な太さですよね」
「それがスープ、それに胡麻と絡み合ってな」
「そのスープがまたいいんですよね」
「塩ラーメンは傑作だろ」
あの企業のラーメンの中でもだというのだ。
「他のもいいけれどな」
「味噌ラーメンとかもいいですけれどね」
「あの会社のだとやっぱり塩ラーメンだよな」
中田も塩ラーメンについては太鼓判を押す。
「あれが一番いいな」
「そこに卵や野菜も入れて」
「ああ、それな」
「その組み合わせがいいよな」
こうも言うのだった。
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